それらの事態をどう想定するかは分からないけれども、中東のISIL(イスラム国)とか、ペルシャ湾であればイランとの戦争、それからアフガニスタン、マラッカ海峡、南シナ海と、シナリオごとに計画を作っていくことになると思います。ただし、そういった計画は基本的にはオープンにされませんから、日米で計画を作り安保法制に沿って実際に自衛隊を出動させる際の国会承認の段になって、初めてそのエッセンス――全貌ではなく――が出てくる。とにかく先にアメリカとの合意ありき、という運用になってくるわけですね。

 その段階で国会に出したところで、1週間で議決しなくてはいかんと法案に書いている。しかも、アメリカとじっくり共同計画を練っているのですから、いざというときに、「あの計画通りやろう」と言われたら、日本側は断れないでしょう。

 手続きのみならず、ガイドラインの内容自体でもアメリカとの公約が先行して運用されていく、そういう形になっているのが、ものすごく大きな特徴だと思います。

実は大きなカギとなる
自衛隊法95条の改正

 平時からの取り組みについても、米国のカーター国防長官は、正直にはしゃいでいて、これで南シナ海で中国を牽制できると言っています。本当の狙いはそこだと思うんですが、ガイドラインでは平時から有事まで、海洋安全保障が強調されている。海洋安全保障とはインド洋から南シナ海に至るシーレーン防衛のことだと思いますが、その中で非常に特徴的なのは、「武器等の防護のための武器の使用」を定めた自衛隊法95条(※1)を改正して、米軍の船を守れるようにすることです。

 95条の武器等防護の規定というのは平時の権限であって、かつ部隊の現場の判断になる。法文上も、自衛官は武器等を警護するに当たり、「合理的に必要と判断される限度で武器を使用することができる」と書いてあります。改正法案では、米軍からの要請を受けて防衛大臣が承認するという手順が入るようですが、それにしても実際に撃つかどうかは、現場の判断にならざるを得ない。しかも平時から使えるわけです。平時と言っても、そこそこ状況は緊迫しているときの話ですから。

 それから重要影響事態(※2)でも、それができるわけですね。もちろん存立危機事態(※3)になっても、武器等防護はずっと生きている。これはものすごく大変なことで、実はこれで米海軍と海上自衛隊が同じROE(交戦規程)を持ち、平時からの共同パトロール、重要影響事態における情報交換、補給活動をやることになります。その際、本当に相手が撃ってきたときに、自衛隊が応戦する。緊迫した事態で応戦するということは、自衛隊も参戦するということです。

(※1)自衛隊の武器使用の基準を定めた条文で、「自衛隊の武器」などを守るために、武器を使用することができる旨を定めている。

(※2)そのまま放置すれば我が国に対する直接の武力攻撃に至る恐れのある事態等、我が国の平和及び安全に重要な影響を与える事態。

(※3)我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から根底から覆される明白な危険がある事態。