東レ、JR西日本、みずほフィナンシャルグループなど、人材育成と事業変革を同時に達成する「伝説の研修」で多くの幹部人材を輩出してきたカリスマ講師が、次世代の幹部人材になるための要諦を説く連載。経営幹部になれる人と、なれない人を分けるものとは、一体何か?
実学としての経営学を身につける
これまで25年にわたり企業内教育研修の仕事を一貫してやってきました。その仕事とは、一部上場企業などの選抜人材(幹部候補生)を対象とした企業内ビジネススクールの企画と運営です。
教育研修に関わったのは、東レ、JR西日本、みずほフィナンシャルグループ、商船三井、全日空、パナソニック電工、住友重機械、古河電工、ツネイシホールディングス、シスメックス、カイタック、モルテン、ニッケなどの大手・中堅企業です。
これまで、のべ5000人以上の生徒を指導してきました。その多くで、経営トップのコミットメントのもと、将来の幹部候補生たちが「実学としての使える経営学」を身につけ、会社の方向性そのものを変えていくような人材に育つのをお手伝いしてきました。
受講生の多くからは、「二度と受けたくない。でも、受けて本当に良かった」という声をいただいています。
私の研修(各社名称がさまざまなので、以下「経営塾」と呼びます)は、大きく2つの特徴があります。
一つは、古典と呼ばれるような名著の精読を通じて、経営学の基本を徹底的に学び戦略を策定することです。たとえば、ポーターの『競争優位の戦略』などの分厚い経営学の理論書を徹底的に読み込んでもらいます。過去の受講生の中には、ポーターの本の全ページに付箋を貼る人もいました。
もう一つは、策定した戦略を自社の本当の事業として実践してもらうことです。座学では終わらせないのです。
つまり、経営学が実学として身につくような研修を行っています。
ほとんどの受講生が、それまでまったく知らなかった、想像もしなかったような課題に取り組むことになります。
正直なところ、かなり厳しい研修です。厳しいですが、研修をやり終えた受講生たちの多くは、その後、順調に大きな仕事を任される幹部人材に成長していきます。