テレビ事業は均衡点まで来た
これ以上の縮小はもはやない

■パナソニック 本間哲朗アプライアンス社社長

パナソニックの本間哲朗アプライアンス社社長
Photo by Masaki Nakamura

──テレビ事業を北米や中国で収束させる方針を示しているが、今後の事業の方向性は。

「2011年4月に初めてテレビ事業に携わるようになったが、それまではやはりパネルの巨大工場があり、いかに動かしていくかということに思考がいっていた。そうなると製品があまりバラエティに富むよりも、同じ製品を世界中に供給していく方が効率は良いという考えだった。ところがその事業モデルは変化に弱かった。今は国、地域ごとに最適な製品をつくって、販売するという方針に変えている」

「液晶パネルのモジュールについても価格が米相場のようによく動くので、セルで購入して組み立ては自社でやるようにして利益を最大化している。ブラジル、メキシコ、台湾、インドなどはそうした手法で利益を出している」

──中国などでテレビ事業が奏功しなかったのはなぜだと分析しているか。

「1つは、我々のテレビに対して価値を認めてもらいにくい市場特性が中国と米国にはある。そのため自社生産の拠点は両国ではクローズしていく方向で調整をしている。残っているマーケットは、収支は何とか確保できると考えている」

──北米や中国でパナソニックのテレビの価値を認めてもらえなかった要因はどこにあるのか。

「米国の量販店にいくとわかりやすいが、プライスドライブ──価格だ。米国は地上波の番組がそこまで高精細ではないので、テレビの画質を上げてもなかなか評価してもらえない。米国の人は価値あるものにはお金を払うが、残念ながらテレビはそういうカテゴリーになっていないという現実を受け止めるしかない」

「中国は、家電メーカーが戦略上手なので、中国の中にいないとできない競争を仕掛けてくる。中国のメーカーと競争条件がイコールフッティング(同等)にならない状況がともすると起きている。さらに注視しているのが、今後中国で巨大な液晶パネルの工場が相次いで立ち上がることだ。9世代や10世代という巨大工場が立ち上げる中で、我々がテレビのために小規模な工場を維持しても改善できる余地は少ないのが現状だ」

──事業計画をみると、売上高が漸減するなど縮小均衡になっている。パナソニックとして長期的に目指すテレビ事業の姿とは何か。

「プラズマの収束や、中国と米国での事業縮小などを進めたことでひとまず事業の均衡点には来たとみている。家電の事業をやる上で販売店との接点を活性化させるためにも、テレビがあるにこしたことはない。欧州の量販店の幹部と会っても、来年はどういうモデルが出るのかと、テレビの話は最初に出てくる。その意味で、これ以上は意図して事業を縮小することは考えていない」

──白物家電を扱うアプライアンス社として、テレビと家電をどう融合させていくのか。

「冷蔵庫にテレビを埋めたりしたら、メディアには取り上げられやすいのかもしれないが、それは非常にナンセンスだと考えている。例えば冷蔵庫は、総務省の調査でも12年とか13年とか使われるものだ。一方でテレビは買い替えサイクルが短い。そういうことよりも、技術的なリソースのシフト、テレビの技術者をBtoB部門に移して成長戦略を描くというような方向にしたい」

「テレビはサムスンやLGという強敵と長年戦ってきたので、オペレーション上の能力は高い。そういう人材を白物部門の幹部に登用するようなことで、事業全体のグレードアップを図っていきたい」