「地方移住」推進へ
「お試し移住」案も

 そこで、解決策が地方移住となるわけだ。地方は施設や人材にゆとりがありサービス費用も安い。「東京圏は一極集中で一見、(人口が膨らみ)勝ち組に見えるかもしれないが、抱えるリスクは大きい。地方移住を選択肢に入れるべきだ」と座長の増田氏は記者会見で強調した。

 東京圏で施設整備を増やそうにも、土地の確保が難しく自治体の費用負担がかさむ。人手不足を地方から調達すれば、「地方都市の消滅が加速する」と言う。結果として「(需要に応えようと)東京都内で自己完結させるのは難しい」と断言する。

 さらに、増田氏は「元気なうちから移住してもらうため、医療・介護体制がどういう地域で整っているかを示すことが課題だ」と話す。

資料:医療・介護ともに受け入れ能力のある地方/出所:日本創生会議HP
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 提言では、「移住に適した地域」として、41都市を示した。青森、盛岡、富山、福井、岡山、松山、高松、長崎、熊本、北九州など県庁所在都市が19もある。全体の半分近い。首都圏に近い都市生活を継続して営めることを配慮したようだ。過疎地域を敢えて外している。

 この移住策に関心のある人には、「お試し移住」を支援することも盛り込んでいる。

 移住策のほかに、今回の提言では、外国人介護人材の受け入れ推進や空家の医療・介護施設への転用、情報・ロボットの活用、日本版CCRC構想の推進など「危機回避」の道を示した。

 提言を受けて、増田氏も加わる政府の「日本版CCRC構想会議」が具体的な仕組みを今夏にもまとめる。担当の石破茂地方創生相は、「高齢者の地方住み替えを推進する」としており、菅義偉官房長官も「地域の消費需要の喚起や雇用に維持につながる。地方創生の効果が大きい」と前向きな姿勢だ。

 CCRC(Continuing Care Retirement Community)とは、米国で広がっている余暇サービス付きの大規模な富裕高齢者向け集合住宅。介護施設とは異なり、健康な高齢者だけが移住してスポーツや生涯学習などを楽しむ。大学と連携した形も多い。

 政府は昨秋、地方創生策を考える「まち・ひと・しごと創生本部」を立ち上げ、その有識者会議には日本創生会議から増田氏や慶大の樋口美雄教授が参加しており、政府の政策との連動が強いと見られている。