持ち合いの目的開示
3月7日の『日本経済新聞』(朝刊)の記事によると、金融庁が2月中旬に公表した新しい内閣府令案で、上場企業は持ち合い株式など保有額の大きい株式の上位30銘柄を公開し、合わせて個々の株式の保有目的を明らかにするように求めたという。早ければ、2010年の3月期末から適用されるようだ。
これまで、有価証券報告書には保有上位10銘柄の記載で良かったから、大幅に開示範囲が広がる。
投資家にとっては、上位10銘柄だけでは重要な持ち株を見逃す可能性があったし、開示範囲の拡大は大いに歓迎だ。上位30銘柄まで見られるとなると、会社の株式保有に関するポリシーを相当程度見ることが出来そうだ。資本金を無駄に固定していないか、どこの会社と仲がいいのか、といった情報がかなり見える。銘柄によっては、見がいのある情報になるかもしれない。
ところで、上場企業が保有する他の上場企業株式の保有目的は、主に何だろうか?また、保有目的を開示するとして、どのような理由を発表するつもりなのだろうか。
よもや、「持ち合いによる、安定株主形成のため」とか「経営への雑音を排するため」とか「買収防止のため」などと正直な理由を書くわけには行くまい。