
地元で貸し出しが頭打ちとなり、銀行・信用金庫が県境を越えて融資を拡大している。だが土地勘の乏しい県外では審査が甘く、焦げ付くケースも少なくない。全国の金融機関は、越境融資したメイン先企業をいったい何社倒産させたのか。ダイヤモンド編集部は独自調査で金融機関別の越境倒産件数を集計し、実名で公開していく。特集『初公開!越境融資でメイン先企業を倒産させた金融機関ランキング』(全8回)の#3は、中部地方の金融機関を取り上げる。(ダイヤモンド編集部編集委員 清水理裕)
越境融資したメイン先企業を最も倒産させた金融機関は?
静岡銀行、八十二銀行の「越境倒産」社数は何社?
人口が減少して地域経済が停滞する中、地方銀行や信用金庫は厳しい環境に置かれている。預金金利の上昇に加え、インターネット銀行や大手行との預金争奪戦も激しさを増す。地元で資金を十分に運用できない地銀・信金にとって、県境を越えた貸出先の開拓はまさに死活問題だ。
金融庁の調査によれば、第一地銀の企業向け融資の約6割(2023年9月末)、第二地銀でも約4割がすでに県外向けに振り向けられている。この割合はさらに高まる見通しだが、そこには大きな落とし穴が潜む。地元で発揮できる情報収集力やモニタリング機能は県外では弱まりやすく、結果として審査の甘さや金利競争が引き金となり、貸し倒れが発生している。

本特集では、本店所在地以外で融資したメイン先企業の倒産件数を金融機関ごとに集計し、実名で初公開する。ブラックボックスだった越境融資リスクを可視化する初の試みだ。
第3弾は中部地方。越境倒産社数では大垣共立銀行(岐阜県)が4位、スルガ銀行(静岡県)が8位に入った。一方、静岡銀行、八十二銀行(長野県)、第四北越銀行(新潟県)は何位だったのか。次ページでは社数だけでなく、越境倒産比率や23、24年の年別内訳も詳しく示す。