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企業統治指針の適用で問う
ソニー精神(スピリット)のあるべき姿

伊庭 保(ソニー社友(元副会長))

(1)は、経営理念(原則3-1、4-1)について。コードでは、「取締役会は、会社の目指すところ(経営理念)を確立し、戦略的な方向付けを行うことを主要な役割・責務のひとつと捉え、建設的な議論を行うべきである」とし、さらにその内容を「開示し、主体的な情報発信を行うべきである」と明示している。

 一方で、現経営陣はミッションを掲げてはいるが、エレクトロニクス事業の将来像、ビジョンがない。事業活動についての信念、バリューもよく分からない。

(2)は、経営戦略・経営計画(原則3-1)。2月に公表した中計は、ROE(株主資本利益率)10%以上を目指すとしているが、株主価値向上だけを意識した内容に過ぎない。

 それ故に、どうやってソニーの持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を目指すのか、という検討プロセスが抜け落ちているように映る。

 例えば、エレクトロニクス事業の再生に関して、どの製品・サービス事業分野で何をコアコンピタンスにして再生するのか。(1)と同じく、開示と主体的な情報発信を期待したい。

(3)は、未達に終わった中計の扱い(補充原則4-1(2))。12年4月の中計で示した業績目標は、大幅な未達となり、下方修正は6度にもわたった。コードでは、その原因や自社が行った対応の内容を十分に分析し、株主に説明を行うとある。皆に分かるように丁寧な説明をお願いしたい。

(4)は、経営陣幹部・取締役の報酬(原則3-1)。コードでは、取締役会は、役員報酬決定に当たっての方針と手続きについて、開示し、主体的な情報発信を行うべきであるとしている。

 代表執行役をはじめとして現在の取締役会は、多くの人材をリストラし、配当を無配としたにもかかわらず、前年度までと同水準の報酬を決議するとしたら、いかに説明しても社内外の納得は得られにくい。

 代表執行役は、報酬委員会の決定は決定として、自主的に報酬を返上すべきだ。

(5)は、経営陣幹部・取締役の指名・選任(原則3-1、4-3)。コードでは「取締役会は(中略)経営陣・取締役に対する実効性の高い監督を行う(中略)適切に会社の業績等の評価を行い、その評価を経営陣幹部の人事に適切に反映」としている。

 (4)と同じく、これまで企業価値を毀損し続けたわけだから、全員が再任候補たり得ず、責任を明確にすべきだ。再任候補に挙げるのであれば、個々のこれまでの責任と、指名・選任についての明確な説明を求めたい。

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