巨匠チック・コリアの最新トリオにも参加しています。「トリロジー」(写真)は、ハーモニーとリズムを支配し、音楽空間を提示し、見事に巨匠を鼓舞するマクブライドの活躍を刻んでいます。

 故にマクブライドは、サイドマンとしてだけではなく、当然リーダーとして己の楽団を率いる訳です。2009年、マクブライドは「インサイド・ストレート」という五重奏団を結成します。自身のベースに加え、ピアノ、ドラム、サクソフォン、ヴィブラホンという編成で、最高にグルーヴする演奏を聴かせます。バンドリーダーとしてだけではなく、プロデューサー兼作曲家として、インサイド・ストレートのサウンドを磨きます。この楽団の醍醐味は、それぞれ一騎当千の兵がそれぞれの楽器を駆使し創り上げる音楽です。ここに存在しているのは、心を弾ませる明朗なジャズです。

ジャズとロックの融合“フュージョン”

◆ニール・ラーセン「ハイ・ギア」

 初夏に聴くジャズで是非ともご紹介したいのが、ニール・ラーセンです。その実力に比して、おそらく最も過少評価されているキーボード奏者にして作曲家です。

 1970年代後半、ジャズがロックに限りなく接近した時期に、16ビートに乗って爽やかな音楽が雨後の筍の如く登場しました。

 この音楽は、ジャズとロックが融合したという趣旨で、フュージョン(fusion)と呼ばれました。硬派なジャズ愛好家は『こんなものはジャズじゃない!』と切って捨てました。しかし、良いものは良い。太古の昔から、音楽は常に新しい響きを吸収して発展してきたのですから。

 ジャズであるか否かを問わず、ニール・ラーセンの音楽は陽光と風を感じさせます。「ハイ・ギア」は1979年の発表なので、36年も前の音盤ですが、今も新鮮です。共演陣も豪華です。リズム隊は、超人ドラマーとも言われるスティーブ・ガッドに、燻し銀のべース奏者エブラハム・ラボリエルです。更に、ギターはバジー・フェイトン、サックスはマイケル・ブレッカー。このメンバーは、当時考え得る最高の陣容です。商業的に成功した訳ではありませんが、ここには極上の響きがあります。

 さあ、常識をちょっとだけ破って、明朗系のジャズを聴いて、梅雨を乗り切り、初夏を迎えましょう。

(音楽愛好家・小栗勘太郎)