川崎重工神戸に修理のため入港中の潜水艦 Photo:kenichirou Akiyama   拡大画像表示

 現在、日本の潜水艦は、起工から進水まで約2年かけ、三菱、川崎交互で毎年1隻竣工させている。もし仮に諸外国から潜水艦建造の発注が来たとしても、その建造能力の限界を超えてしまう。これを請けるだけの設備もなければ、技術者もいないのである。昨年4月の武器輸出解禁を受けて、潜水艦建造ドックを新たに増やす、あるいは特殊技術者を数多く養成するといった予定は、現状では三川どちらにもない。

ニーズ激減、中古の流通
縮小し続ける兵器市場

 第三に、これは潜水艦に限った話ではないが、軍事産業の市場そのものの縮小である。

 そもそも各国の軍事費は、先進諸国でもGDPの数%に満たない。しかも、あまり知られていないがその中でも人件費が過半を占める。“正面”と呼ばれる兵器本体に割かれる額は、せいぜい3分の1から半分といったところだ。日本でも、2014年の防衛費約4.8兆円のうち、兵器購入に関わる防衛装備品は約1兆円にすぎない(※1)

 世界の証券業界の市場規模は175兆米ドル(※2)、医薬品市場は約9800億米ドルである。一概に比較はできないが、4020億米ドルという軍事産業が、いかに小さな市場であるかが分かる。日本で言えば、製造業全体の1%に満たない。

 そして、その市場規模は縮小の一途を辿っている。

 東西冷戦以降、その縮小ぶりは著しい。ニーズそのものが減り、さらに東西問わず各国の良質な中古兵器が出回り新しい装備への支出が減っているためである。

 防衛省関係者によると、「冷戦末期、世界全体の兵器への支出総額は約3000億米ドル規模と言われていた。それが2000年代に入ると約1500億米ドルにまで落ち込み、その後も年々減り続けている」という。

 その傾向は今も続いている。スウェーデンのストックホルム国際平和研究所が発表した「2013年世界武器取引規模上位100社」によれば、ランキング100社の武器取引額は4020億米ドル、2012年度比で2%の減少だ。この数字には兵器に付随する電子機器や技術供与ビジネスでの収益も含まれており、潜水艦や護衛艦といった兵器本体に限るともっとその額は低くなるはずだ。ちなみにこの上位100社のうち、日本からは三菱重工業(27位)、三菱電機(68位)、川崎重工業(75位)、NEC(93位)の4社が、防衛関連企業としてランキング入りしている。

 こうした状況を見れば、斜陽産業といった観すらある。

(※1)出所:『我が国の防衛と予算 平成26年度概算要求の概要』防衛省
(※2)出所:「リーマン・ショックから5年―世界の証券市場は量的にどう変化したか」日本証券経済研究所・杉田浩治著