「白人」に甘いという
日本人の意識

 クーリエ・ジャポンの記事「ももクロの“黒塗り”は笑い事ではない!「人種差別」に鈍感な日本という国」の中では、日本人が気付かない「差別」があること、「日本には生粋の日本民族しかいないという意識が根強いため、国内で起きている人種差別の問題を認識し、それに対処することができない」と指摘されている。

 私は留学経験もなく、英語やその他の外国語も得意ではない。外国人の友人もほとんどいない。自分が偏見に満ちた人間だとは思わないが、しかし日本でしか暮らしたことがなく、日本語しか話せず、日本人の友達しかいないというのは世界の中で見れば紛れもない「偏り」だろう。

 自分の知らない多様性とはいったい何なのか。

 冒頭の取材にOKしてくれていた一人、上海出身の阪野思遠さんに、取材内容を「日本に住んでいて『外国人扱い』に困ったことはある?」と変更することに了承をいただいて、話を聞きに行った。

 阪野さんは25歳。10歳で日本へ移住し、独学で日本語と英語を学んだ。大学卒業後に商社に就職するも、8ヵ月で退職。独立して2013年に下北沢、2015年に自由が丘に英会話バーを開いた。外国人の「先生」と、飲食を楽しみながら英語で交流できるコンセプトのバーだ。

「オーストラリア人の先生が言っていたのは、日本人は電車内のマナーにうるさいけれど、外国人が車内で携帯電話を使っていても注意しないということ。だから彼は日本語がしゃべれるけど、車内で携帯電話を使うときはわざと英語でしゃべると言っていました。外国人のマナーを大目に見るというのは他の国でもあるかもしれないけれど、アジア人は特に白人が悪いことをしていても注意できなかったり、逆に『かっこいい』とすら思っていることがあるかもしれませんね。同じアジア人に対しては厳しいのに」

 阪野さん自身は見た目で外国人と判断されることがないため、街中などでの外国人扱いを受けたことはないという。ただ、多様性の問題について、彼はこう言った。

「私が8ヵ月間働いていたのは商社の貿易部門でした。300年以上の歴史がある企業で、学んだこともあったけれど凝り固まった考え方も感じましたね」