岸本社長は三菱の“不義理”をうやむやにする気など毛頭なく、一方的に販社統合を白紙撤回されたとして、統合検討に掛かった費用を厳しく請求する書面を大会のすぐ前に送っていたのだ。一方で、「費用をきちんと支払ってくれれば今回の件は水に流しましょう」という“愛ある”メッセージもつづったとされる。この書面は各社のトップによって予想請求額がはじき出され、「1億円のラブレター」として話題をさらった。

大王を訴える可能性も

 実際の請求額は数千万円とみられるが、2014年度に最終赤字に陥るなど、「財務的に非常に苦しい」と幹部が公言してはばからない三菱には大きな支出だ。おまけに北越の請求に応じれば、三菱は自らに非があった事実を認めることになり、経営陣の経営責任も問われかねない。

 北越は三菱のそうした状況も織り込み済み。請求に応じない場合は法的措置も辞さない構えだ。

 北越にとって、損害賠償を請求するのは三菱との和解のためだけではない。三菱に賠償を請求する過程で販社統合が白紙に至った経緯をつまびらかにし、その裏に大王の介入があった証拠を積み上げる目的がある。“証拠固め”が完了した時点で、場合によっては財産権の侵害などで大王をも訴える事態も考えられる。

 北越と大王の関係は、まさに泥沼状態だ。岸本社長の決算説明会での発言に対し大王が反論コメントを発表。それにまた北越がコメントを出して反論するという空中戦が行われている。北越は佐光正義・大王社長との面会を求めているが、今のところ実現する気配はない。両社の戦いは法的バトルに移りそうだ。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 新井美江子)