ギリシャの命運を握るECBの資金供給
“見放される”契機が次々訪れる

 ギリシャの銀行は資金流出が加速し、29日には休業・預金引き出し制限に追い込まれた。今や同国の銀行の資金繰りはECBの資金供給が生命線であり、これが停止すると「引き出し制限どころか、払い出しそのものができなくなり、破綻しかねない」(岸田英樹・野村證券シニアエコノミスト)状況となる。

 一方で、ECBはこれまでにギリシャの銀行に対し、890億ユーロもの資金を供与してきており、もはやそれらに返済能力がないとなれば、「早晩、どこかで行き詰まる」(中空麻奈・BNPパリバ証券チーフクレジットアナリスト)。6月30日の支払い遅延は、ECBがギリシャの銀行を“見放す”契機となり得る。ECB理事会は7月1日にこの件で協議を行うと報じられているが、「同日の時点で資金供与を止めてしまう可能性はある」(岸田シニアエコノミスト)。

 仮に7月1日時点で猶予を得たとしても、ギリシャには今後、次々と資金返済・債務償還の時が訪れる。7月5日のECB保有国債の利払い、7月14日の円建て国債(サムライ債)の償還、7月20日のECB保有国債の償還などである。これらの支払い・償還が滞れば、いずれもECBによる資金供給停止の引き金となり得る。

 EFSFのデフォルト判断も、これに大きく関係する。EFSFは、「クロスデフォルト条項」に基づき、IMFへの返済を含む他の債務の返済が行われない場合、自身がギリシャに対して持つ債券もデフォルトと認定、前倒し返済を請求できる。そうなれば、ECBも立場上、ギリシャの銀行への資金供給を続けることは難しくなる。

 中空チーフクレジットアナリストは、まず14日のサムライ債の償還が重要と指摘する。債権者である日本の金融機関への影響もさることながら、「6月30日以降で最初に来る、民間債券の償還であるため」だ。金額としては約117億円(約0.8億ユーロ)と大きくはないため、デフォルトとなってもそれ自体のインパクトは小さいが、これがクロスデフォルト条項に抵触する可能性がある。

 さらに、支払い期限先延ばし等でこれを乗り切ったとしても、7月20日の国債償還が「決定打」となる。35億ユーロと多額であり、EFSFやECBとしても看過するのが難しいからだ。