他社のヒット商品にも相乗り!
「答えは常に売り場が持っている」


 彼らはこのように、自社商品に流行を絡めることで、商品の認知を高め、リピーターを増やし続けてきたのだ。

「単に新しい味の商品を出すのでなく、世の中で何が流行っているかを見極め、時代にマッチさせるのです。たとえばカルビーさんの『フルグラ』(朝食向けのフルーツグラノーラ)が売れています。そこで、7月11日から梅田の阪急で、『カスピ海ヨーグルト』とのコラボ商品を売ったんです。『ヨーグルト』と『フルグラ』を合わせ『ヨーグラート』という商品名で売っています。完売する日も多いほどの盛況ですよ」(紀井氏)

 では、彼らはどこから、世の中の動きを見極めるのか。このインタビューは、紀井氏と部下の森氏、別々で行ったが、答えは同じだった。まず、紀井氏が話す。

「スーパーの店頭で見ています。毎日、定点観測していると、売れている商品が見えてくるんです。いい位置にあって、昨日はまだたくさんあったのに、欠品寸前になっていたら『この商品は売れているんだな』とわかりますよね。ほかにも、売れている飲料を見つけたら『いまはこのフレーバーがええんか』とか。通勤で使っている駅のスーパーには、毎日寄って、くまなく見ていますよ(笑)。フルグラも、スーパーで売れていることもあって興味を持ったんです」

 森氏は、こう話す。「他社商品の売り場こそ、じっくり見ています。もちろん(自社と関わりがある)ゼリーやお総菜のコーナーは見ますが、それだけでなく、飲料やお菓子などのコーナーがどう変化していくかを見て、今、何が流行っているか、肌感覚を養うんです。もちろん、居酒屋さんや喫茶店でも、商品の入れ替えなどを見ていますよ」。

 そして、なぜ流行っているのか、仮説を立て、理由を考える。これを、毎日毎日続けていると、自然と「時代感覚」が養われる。例えば、森氏は現在、調理は「ひと手間」だけかけて、美しく見せる時代でもあると見ている。

 男女両方が働くようになり、忙しいから、日々のお料理はおろそかになりやすい。だが、美しく見える食事はとりたい。だから「ジャーサラダ」(ビンにドレッシングと野菜を詰めておくサラダ。長持ちするため、休日に1週間分を作り置きする人が多い)など、キレイに見え、かつ簡単で健康的な食事が流行っているのだろう。とすると、ひと手間かけ、かつキレイに見える“ゼリーがけ”が流行っているのは自然の流れ。これで訴求しない手はない、とわかる。

「答えは、常に売り場が持っています。それを学び、流行にリンクさせ続けることで、お客様にも『あ、次はこれが出たんだ!』と楽しんでいただけます。結局、売り上げの好調は、そんな地道な努力の成果なのだと思っています」(紀井氏)。世の中の流行をウォッチし尽くして商品を作り出すことはもちろん、食べ方まで提案してしまう。流行の波乗りのうまさが、「単なるゼリー」にヒットの魔法をかけるのだ。