仕事をするうえで最も大切にすべきスキルは何か――。いざ、そう聞かれると困ってしまう人が多いかもしれない。特に若いビジネスパーソンは答えに窮してしまうことが多いだろう。そこで当連載ではその答えを探すため、いま注目の経営者(社長)たちにその質問をあえてぶつけてみようと思う。数々の苦難を乗り越え、成功を手にした者だからこそ語れる「仕事の極意」がきっとあるはず。成果を生み出すために本当に必要なものは何なのか、(テーマを絞るため、原則として下記の8つのスキルの中から選んでもらい)じっくり語ってもらいたいと思う。

1)情報収集 2)コミュニケーション 3)整理術 4)アイデア・発想 5)ドキュメンテーション(表現力) 6)人脈づくり 7)行動管理 8)モチベーション

 彼らの言葉は、多くのビジネスパーソンにとって貴重なメッセージとなると思う。いまの自分よりも一歩上を目指したいと思っている人たちにぜひ読んで欲しい。

 当連載にご登場いただく7社目は、株式会社エニグモ。同社は、誰でもバイヤーになれるショッピング・コミュニティ「BuyMa(バイマ)」、個人ブログを活用したプロモーションシステム「プレスブログ」、消費者参加型CM制作ネットワーク「フィルモ(filmo)」、ソーシャル・シェアリングサービス「シェアモ(ShareMo)」など、遊びゴコロあふれるインターネットビジネスを展開している。

 同社を率いるのは、共同最高経営責任者である田中禎人氏(34歳)と須田将啓氏(34歳)の2人。彼らは、大手広告代理店でマーケティングプランナーとして活躍していたが、「インパクトのある新しいビジネスを立ち上げたい」との思いから、2004年に同社を共同で設立した。今年で創業5年目を迎えているが、ネットビジネスの特性を活かし、日本国内にとどまらず、海外への事業展開も積極的展開。常に「新しいこと」への挑戦を続けている。

 彼らはなぜ、「共同経営」というスタイルを採っているのか――。そのメリットも含め、2人のCEOの“違い”と“共通点”に迫った。まず今回は【前編】として、田中禎人氏のインタビューを。そして次回は【後編】として、須田将啓氏のインタビューを紹介。2週に渡ってお届けする。

■ 社長ファイルNo.7 ■

株式会社エニグモ 代表取締役
共同最高経営責任者 田中禎人 氏

■ 田中CEOが選んだ「仕事の極意」(スキル)は・・・ ■

バランス力

田中禎人田中禎人(株式会社エニグモ 代表取締役 共同最高経営責任者)
1974年生まれ。青山学院大学法学部卒。1997年オンワード樫山入社。その後、外資系PRコンサルタント会社のシャンドウィック(現ウェーバー・シャンドウィック)を経て、カリフォルニア 大学経営大学院で経営学修士(MBA)を取得。2001年博報堂入社。2004年須田氏とともに博報堂を退社し、株式会社エニグモを設立。現在、エニグモ代表取締役共同最高経営責任者。著書(須田氏との共著)に『謎の会社、世界を変える。~エニグモの挑戦』(ミシマ社)がある。

高城 ビジネスパーソンとして、ご自分の“強み”は何だと思いますか?

田中 難しい質問ですね(笑)。強いていえば、「バランス力」を高めることは常に意識しています。「こうあるべきだ」と自分の意見を押し通すだけではダメで、一緒に働く仲間の話も聞かないといけない。それによって人がついてくるかどうかも決まってくると思います。