規制庁を動かす集団は
どんなメンバーか?

 つまりこれら活発な火山に囲まれた川内原発を、大地震が襲う日は、刻々と、目前に迫っている。

 この原発の耐震性を検討しているのは、原子力規制委員会である。
 だが、実質的には、その配下にある原子力規制庁の「官僚」たちが、九州電力の提出した書類を審査している。

規制庁とは、その8割が、フクシマ原発事故を引き起こしたあの悪質・無能な原子力安全・保安院のメンバーなのである。

 フクシマ原発事故前と何も変っていないのだ。
 この規制委・規制庁とも、2012年の発足以来、「原発の敷地に活断層があるか・ないか」だけを議論してきた。彼らに何度言えば分るのだろうか。

 原発の敷地近くに、大地震を誘発する可能性のある活断層が存在すれば、その原発は即座に廃炉にしなければならないことは常識だ。
 しかし過去の地震において、原子力発電所で危険とされるマグニチュード6.5を超える地震が発生しながら、断層が地表に出現しなかった記録は、山のようにある。

 さらに、それより大きなマグニチュード(M)7.0を超えて断層が地表に出現しなかった地震は、1900年・宮城県西部地震(M7.0)、1914年・桜島地震=桜島大正大噴火(M7.1)、1914年・秋田仙北地震(M7.1)、1924年・丹沢山塊地震(M7.3)、1961年・北美濃地震(M7.0)、1995年・兵庫県南部地震=阪神大震災(M7.3)がある。

 阪神大震災では、淡路島に野島断層が出現したが、大被災地の神戸側では大きな断層が出現しなかった。

 つまり活断層の存在が確認されないからといって、それは、何ら「大地震が発生しない」という科学的根拠とはならないのである。これが、地震学の初歩知識である。原子力規制庁の「官僚」たちは、その知識さえ持たない集団だ。

 ほんの7年前の2008年6月14日に起こった岩手・宮城内陸地震は、「活断層がない」とされていた地帯での内陸直下型(M7.2)の地震であった。

 しかも、この岩手・宮城内陸地震で、震源断層の真上で観測された最大加速度4022ガルが、「人類史上最大の揺れ」として、ギネスブックの記録に認定されたのだ。

 特にこの地震で上下動3866ガルを記録したことは、全国の地震学者に、もはや日本に原発を建設・運転できる適地は存在しないということを知らしめた。なぜなら、日本の原子力発電所は、耐震性の計算において、主に横揺れ(水平動)を考えて建設されてきたので、上下動には非常に弱いからである。

 地球の万有引力(重力加速度)は980ガルだから、長時間にわたってこれを超える揺れに襲われると、地上にあるものは、巨大なビルでも浮き上がる。その4倍の大地震が、岩手・宮城内陸地震であり、現地では山が崩れて消滅したのだから、原子力発電所の敷地ごと吹き飛ぶ、というのは、決して大げさな予測ではない。