それでは、このような、ゆとり世代に対して、効果的なコミュニケーションの方法があるだろうか。彼らとのコミュニケーションの仕方がわからないという、シニア層が直面している課題を解消できるだろうか。 

 実は、演習を繰り返す中で、単純ではあるが効果的な方法があることがわかってきた。もちろん、ひとくくりにゆとり世代といっても千差万別であるので、当てはまらないケースもあるかもしれない。しかし、全体的には、効果が上がりやすいことが、演習を通じて実証されているとすれば、試してみたいとお思いにならないだろうか。

ゆとり世代に応酬話法が通用しない
悩めるシニア世代

 実際にどのようにコミュニケーションをとっているか、シニア層に聞いてみると、ゆとり世代には指示・命令は効きにくいということを実感しているので、まず同意してから逆説でつなぐ、逆説型の応酬話法でコミュニケ―ションをとっているという典型例が浮かび上がってきた。Yes But方式による応酬話法である。

 例えば、「この作業を今日の時間内完了してください」と指示をした際に、「時間内に完了することは無理だと思うのです」という懸念を、ゆとり世代の部下が表明した場合、「この作業を、今日の時間内に完了することが無理だと思うのですね(Yes)。しかし、作業は今日中に完了しなければなりませんから、やり遂げてください(But)」という表現が、Yes Butによる応酬話法である。

 シニア世代は、「自分たちは、指示・命令で動いてきた。しかし、ゆとり世代に配慮して、指示命令ではなく、Yes But方式の応酬話法を用いて、コミュニケーションしているのだから、ゆとり世代は、考え方を変えて当たり前だ」と思っている。しかし、それでも、ゆとり世代は動かず、納得もしていないことに、シニア世代は限界を感じているのだ。

 Yes But方式は、前段で同意をして、懸念を持つ相手の気持ちを和らげ、それをテコに、逆説的な指示・命令を受け止めやすくする方法である。しかし、ゆとり世代には、前段の同意くらいでは、気持ちを和らげることができず、後段の指示・命令の受け止め度合いは高まらない。

 そこで、開発した手法が、質問による誘導話法である。いうなれば、Yes Question方式だ。前段のYesの部分は変わらない。相手の懸念に同意をして、相手の気持ちを和らげる。後段では、逆説的な指示・命令をしない。後段ですることは、質問である。