Photo by Yoshihisa Wada
みずほフィナンシャルグループの木原正裕社長が、就任5年目に入る2月1日を前にダイヤモンド編集部の独占インタビューに応じた。システム障害の対応から始まった木原体制は、2025年度に1兆円超の過去最高益を見込む。メガバンク3位という規模の評価に対し、木原氏は「単純な金額だけで比較しても意味がない」と断じ、ROE(自己資本利益率)など「クオリティー」を競う姿勢を鮮明にした。長期連載『金融インサイド』の本稿で、木原氏が初めて詳細に語った次世代リーダーに求める五つの資質、そして最高益の先に見据える「志」を明らかにする。(聞き手/ダイヤモンド編集部副編集長 重石岳史)
「言うべきことを言わない」社風は変わったか
システムと企業カルチャー、再生4年の現在地
――4年前の2022年1月17日、みずほフィナンシャルグループ(FG)はシステム障害の再発防止策を盛り込んだ業務改善計画を提出し、木原新体制が始動しました。当時の企業風土について、金融庁から「言うべきことを言わない」「言われたことだけしかしない」との指摘がありましたが、4年たってみずほは変わったのでしょうか。
少しブロードリーに(幅広く)お話をすると、これまで主に三つにフォーカスしてきました。1点目は、ご指摘の通りシステム障害がありましたから、その再発防止策をしっかりとインプリメンテーション(実行)し、安定的なシステム運営体制を構築していくことです。
そのための予兆管理体制をつくったり、万が一障害が起きたときの対応力を強化したりといろいろなことを行い、昨年10月に基幹システム「MINORI」の更改第1弾を終えました。これから第2、第3と続きますが、第1弾が問題なく終わったことで、一定の対応力は上がったと思います。
2点目がカルチャーです。社員が建設的な意見を言える環境をつくり、それを経営に反映していく。そして社員に変化を実感してもらい、挑戦をしてもらう。そういうカルチャーに変えていきたい、「言いたいことは言えるカルチャー」に変えたいと思ってきました。
その際、投資家から「カルチャーが変わった証左を出せないのか」と言われました。多くの会社が従業員調査を行いますが、その調査の中の「エンゲージメントスコア」と「インクルージョンスコア」について、当時両方とも50%台だったものを23年度から25年度までの3年間で65%まで引き上げようというコミットメントを示し、実際に上がっています。
3点目は戦略です。社員が成功体験を味わえる戦略をつくっていく。四つの領域(顧客利便性の徹底追求、「資産所得倍増」に向けた挑戦、日本企業の競争力強化、グローバルCIBビジネス)を決めてそこに集中する。25年度の当期利益のガイダンスを1.13兆円に上方修正しましたが、1兆円を超えるのは(みずほFGとして)初めてですから、そういう意味でも一定の成果があったと思います。
――木原さんはROE(自己資本利益率)を非常に重視されている。実際、直近の中間期でROE9.3%と高い水準まで引き上げられた。この4年間で特にどの施策がROE向上に寄与したと分析していますか。
カルチャーを変えていく中で社員の皆さんがポジティブになり、収益も上がった。この好循環で良い形になりました。戦略領域を皆で突き詰めることができたのだと思います。
もちろん課題が全くないわけではないので、引き続きしっかりやらなければならないのは事実ですが、四つの領域それぞれで成長しています。どれか一つというよりも、われわれが決めて一生懸命やろうと言った領域を、皆が愚直にやってくれた。お客さまにいい提案をして、それが受け入れられたということだと思います。
――就任翌年の23年に3年間の中期経営計画を策定し、これが26年3月末に終了します。中計の目標は100パーセント達成可能ですか。そして来期以降の具体的な目標は。
25年度に史上最高益を見込むみずほFG。しかし、他のメガバンク2行との収益格差は依然として大きく、市場からは「万年3位」という冷ややかな視線も向けられる。インタビュー後半では、他行の背中を追う「規模の追求」を否定する木原氏の真意と、リストアップし始めた後継者の「絶対条件」を直撃する。







