第5位「代案もないのに反対するんじゃない」

 まずは、会議の場面での話です。自動車ディーラーではよく週末にフェアを開催して集客をし、商談につなげていく動きをしています。その「フェア」では様々な催しを企画しており、例えば夜店のような“ヨーヨー釣り”だったり、“射的”のようなものをやったりして家族連れに来てもらおうとしています。

 その企画会議には私を含めメカニックも毎回、何名か参加していました。そこで様々なアイデアが出されるのですが、出したアイデアに反対意見だけを言ったとき、先輩からよく「代案は?」と言われました。「いえ、特に思いつきませんが」などと言おうものなら「代案もないのに反対するんじゃない!」と怒鳴られていたのです。

 反対ばかりしていると、会議が前に進みません。反対をするときには、「その代わりにこういうアイデアはどうか」という代案を出していくことで、生産性の高い会議になるのではないでしょうか。

第4位「現物は見たのか?」

 修理の車をお預かりする際には、お客様から必ずヒアリングをします。「どんな症状なのか」「いつ頃から発生したのか」「どんな音がするのか」などなど、様々な角度から話を聞きます。そして、そのヒアリングをもとに、故障個所の目星をつけていくのです。

 慣れてくると、ヒアリング内容だけである程度は故障個所を特定することができるのですが、それでも「○○が壊れていると思います」と先輩に言うと必ず「現物は見たのか?」と聞かれました。

 故障箇所の目星をつけたとはいえ、あくまで仮説にすぎないわけで、検証するには必ず「現物」を見なさいということだったのです。当たり前のことのようにも聞こえますが、実際に現場に足を運ばず、現物も見ず、会議だけで物事を決定しているケースが多くはないでしょうか?

 トヨタグループでは徹底した「現場主義」がとられており、そんな考え方の典型ともいえる口ぐせだったのではないかと思います。