プロ野球は後半戦に入ったというのに、セ・リーグは大混戦状態が続いている。
7月27日現在は東京ヤクルトが7連勝と好調のため、1位=ヤクルト、2位=阪神、3位=巨人、4位=DeNA、5位=広島、6位=中日という順位になっているが、1週間前は1位=DeNA、2位=巨人、3位=阪神、4位=ヤクルト、5位=広島、6位=中日だった。たった1週間で1位から4位までの順位が一変したのだ。いかに差のない戦いをしているかが分かる。
セ・パ交流戦でセ・リーグ各球団の成績が悪かったこともあって、一時期は6球団すべてが借金(負け越し)を抱えるという史上初の珍事もあった。勝率5割を超えれば首位争いができるという状態。5位の広島だって首位ヤクルトとは4ゲーム差、6位の中日も7ゲーム差だ。好調の波をつかみ連勝すれば、この2チームも優勝争いに加わる可能性もある。セ・リーグ各チームのファンにとっては一喜一憂の日々が続く展開なのだ。
1試合平均で9000人以上も増加!
横浜DeNA中畑清監督の動員力
この大混戦を招いた主役が中畑清監督率いる横浜DeNAベイスターズだろう。今季開幕直後のDeNAは昨シーズンまで9年間Bクラス続きだったとは思えない強さを見せ、勝ち星を重ねていった。5月16日には11もの貯金があり、首位を快走。このまま行けば1998年以来、17年ぶりの優勝も夢ではないとファンに思わせた。
ところがDeNAは交流戦に入ると大失速。3勝14敗1分という惨憺たる成績で貯金を一気に使い果たしてしまう。交流戦前、DeNAに次いで2位だった巨人をはじめ他のセ・リーグ球団も交流戦では振るわず、その結果、5割ラインをめぐる大混戦になったというわけだ。
しかし、大失速を見せてしまったにもかかわらずDeNAファンの盛り上がりは続き、その多くが熱心に球場に足を運んでいる。まだ、優勝が狙える位置にいることもあるだろう。だが、それ以上に中畑監督が率いるチームの魅力に惹かれるものがあるからではないだろうか。
中畑監督がチームの指揮をとるようになってからの主催試合(多くは横浜スタジアム)の観客動員増加には目を見張るものがある。
監督に就任したのはDeNAが球団を買収した2012年から。その前年、尾花高夫監督に率いられたチーム(6位)のホームゲーム平均観客動員数は1万5308人だった。中畑監督の1年目は前年より勝利数が減ったうえで最下位だったが、平均観客動員は増え1万6194人に。それが2年目(5位)は1万9802人に、3年目(5位)は2万1730人と2万の大台に乗せ、そして今年(7月27日時点)は2万4625人にもなった。監督就任前と比べると、1試合平均で9000人以上も観客を増やしているのだ。Jリーグでは1試合の観客数が1万人に満たないことも少なくなく、それを考えると、平均で9000人増やすことがいかにすごいことかが分かる。