話し手としては当然、自分の話に興味を持ってくれているか、相手が自分に意識を向けているか否かで、話しやすさが全く異なります。ですからこれによって、相手に対して意識を向けることが重要だという認識が生まれます。

 しかし最近は、受け手が無視をしても話し続けられる話し手も見受けられます。体が自分に向いていなくても、視線が向いていなくても全く動じる事なく、自分の話したいことを話しきってしまうのです。それに対して特に話し辛さを感じる事は少なく、むしろ相手が自分に意識を向けてしまっている方が話し辛いそうです。

 どうしてこのようなことが起こるのでしょうか。

 もちろんこれは、「最近の若者は」で片付けるべき事象ではありません。普段のコミュニケーション自体には、問題を感じない方でも起きており、「最近のコミュニケーション手段」に端を発する問題ではないかと思うのです。つまり、普段から目を合わせない会話が増えているせいで起きてしまっているようなのです。

スマホでネットをしながら会話
相手を見ず話すのが当たり前に

「平成26年版 情報通信白書」(総務省)によれば、日本でのスマートフォン普及率は53.5%で、従来型の携帯電話を合わせた場合の所持率79%にのぼります。最近は学校でもタブレットが普及し、スマートフォンまたはタブレット、あるいはその両方を持っている学生の割合が高くなってきています。

 移動中の電車内や喫茶店など、多くの場所でスマートフォン等を操作している風景も一般的になってきました。そうしたなかでよく見かけるのが、スマートフォンでインターネットをしたり、第三者の友人とメールをしながら、友人同士で会話をする人です。その際、相手の視線の先はスマホにあり、自分に体を向けず、なおかつ視線が合わなくても、会話を続けているケースが少なくありません。

 もちろん電車内などでスマホを操作しているのは学生や若い方だけありません。社会人や主婦、高齢者に至るまで、常にスマホを触っている光景を見かけます。しかし、こうした大人は、直接相手と話すときにはスマホを見ながら…といったことはあまりありません。なぜなら、対面でコミュニケーションを取る下地がすでに出来上がっているので、仕事中や会話をするときにはやはり相手に意識を向けることが自然とできるからです。

 しかし、若い頃からスマホを常に触って生活している若者は相手と目を合わせずにコミュニケーションを取ることが当たり前になっており、結果的にスマホを触っていないときでも相手と目を合わせられなくなってきています。