生活保護特有のリスクに対しても対応
充実してきたサービスや保険

「ちんたい協会」本部事務局入り口に掲げられた看板。東京駅すぐそばの事務所は、霞ヶ関の官公庁へのアクセスにも便利

 ちんたい協会・本部事務局長の稲本昭ニさんは、

「川崎の、18人の方が死傷された、あの簡易宿泊所の火災の数日後、国交省の住宅局長さんと私どもの会の代表が、別の用件で意見交換する予定だったんです。その意見交換のとき、住宅局長さんは開口一番、『大家さんの会として、生活保護の方にお部屋を貸していただけませんか』と。その依頼を受けて、急遽、このガイドブックを作成することにしました」

 と語る。

 そもそも、なぜ、違法建築の簡易宿泊所に、多数の生活保護利用者が居住していたのか。それが問題だ。

「あの簡易宿泊所は1泊2000円でしたから、1ヵ月あたり約6万円です。川崎市内で『家賃6万円』といえば、結構、良いアパートに入れるんです。物件はあります。ところが大家さんが、生活保護の方を受け入れたくないんです」(稲本さん)

 生活保護利用者が実際に入居するとなると、原則として生活保護の住宅扶助(家賃補助)の上限額以下の物件を選択することになる。川崎市の単身者では5万3700円だ。その金額でも、「まあまあ」の物件は多数存在する。大家さんたちが生活保護利用者を受け入れたくないのは、家賃滞納や高齢による孤独死などのリスクが現実に存在するからである。そこに、生活保護に対する偏見や知識不足も加わる。

「でも、大家さんたちの『生活保護だから』という心配には、今は対策があるんです。家賃滞納リスクが心配なら、家賃を福祉事務所から直接、代理納付してもらうことができます。それに、家賃債務保証サービスを有償で利用することもできます」(稲本さん)

 孤独死リスクに対してはどうだろうか?

「生活保護の方は、親族を保証人や緊急連絡先に出来ない場合が多いわけですが、保証人代行サービスもありますし、緊急連絡先代行サービスもあります。保証人代行サービスが、緊急連絡先代行サービスも提供している場合もあります」(稲本さん)

 もちろん、孤独死しているのが発見された後で緊急連絡先への連絡が必要になるという状況の発生は、最初から予防するに越したことはない。

「乳製品飲料会社の定期配達に安否確認をセットにしたサービスもあります。また、保証人代行業者が、定期的に電話をかけて状況を把握するサービスを提供している場合もあります」(稲本さん)

 それでも、孤独死してから発見されるリスクをゼロにすることはできない。このリスクには、どのように備えることが可能だろうか?