大毎オリオンズの永田雅一氏ら
昔からいた現場に口を出すオーナー

 現場のやり方に口を出すオーナーは昔からいた。親会社の人事異動でたまたま球団オーナーになった人は別として、事業を興して成功して、あるいは親会社で実績を上げてオーナーになったといったワンマンタイプのオーナーにはこの傾向が強いようだ。

 事業の成功はビジネスで勝つことを意味する。球団経営も同様で、チームが強く優勝という栄冠に近づくことが人気を高め、多くのファンを獲得し、収益を上げることにつながる。自分にできたことが、なぜ球団のスタッフや選手たちはできないのかと思うわけだ。それにこのタイプは大の負けず嫌い。負けが込むとどうしても現場に口を出したくなってしまうのだろう。

 現場に口出しをしたことで知られる人物としては1950年代から60年代にかけて大毎オリオンズのオーナーを務めた永田雅一氏がいる。1960年、大毎が日本シリーズで大洋と対戦した時、0勝4敗のストレート負けしたことに腹を立て西本幸雄監督と采配を巡って口論。これが原因で西本監督は退任した。もっとも、私財を投じて本拠地の東京球場を建設したり、選手に対する面倒見がよかったりと、チームに対する愛情を示した点では評価されている。毀誉褒貶が入り混じる個性的なオーナーだったようだ。

 巨人の渡辺恒雄氏、阪神の久万俊二郎氏なども現場に口を出したエピソードはたくさんあるし、現役オーナーでも野球好きで知られるオリックスの宮内義彦氏、阪神の坂井信也氏、広島の松田元氏も口を出すことが多いといわれる。

 こうしたオーナーはメジャーリーグにもいる。有名なのは1970年代から30年以上にわたってニューヨーク・ヤンキースのオーナーを務めたジョージ・スタインブレナーだ。成績が悪ければ容赦なく監督の首をすげ替えることで知られ、ファンからブーイングを浴び続けた。ただし、スタインブレナーはチームを愛するエピソードもあり、評価する人も少なくない。永田雅一氏とタイプが似たオーナーなのだろう。

 ここにあげたオーナーたちは監督を辞めさせたり、選手の補強に口出しすることはあったが、三木谷氏のように先発オーダーの指示まですることはなかった。その意味では異例のオーナーといえる。

『マネー・ボール』流のデータ野球で
ついつい選手起用にまで口出しを?

 三木谷氏がその領域まで介入するのは、セイバーメトリクスを研究しているからだろう。セイバーメトリクスとは、野球で見られる数々のプレーの統計データから勝利により直結するデータを重視し、それに基づいた選手起用や采配を行なうこと。たとえば打者で重要なのは出塁率や選球眼で盗塁や打点・得点圏打率などは重要ではない。また、投手で重要なのは与四球の少なさや奪三振、被安打数や防御率はさほど重視しなくていいといったものだ。