理想の女性に巡り会えず、悶々とする独身男性は多い。日常業務のストレスもあり、彼らはいつしか周囲の幸せな結婚に恨みを抱くまでに妄想を膨らませることがある。似たような人はあなたの職場にもいないだろうか(写真の人物は本文とは関係ありません)

「婚活」を取り上げる際、メディアは婚期が遅れがちな男女を対象にして、「かわいそうな人たち」というイメージを醸成する企画づくりをすることが多いように思える。あるいは、婚期が遅れている男女の親を登場させ、「今どきの若者は……」というコメントを紹介するなど、面白おかしく報じることもある。

 実際、婚活にいそしんでいる人たちの本音はどうなのだろうか。今回は、アラフォー(40歳)一歩手前となった1人の男性から聞いた話を紹介しよう。この男性は「結婚相談所」に入り、見合いを通じて婚活をしているものの、思い描いていたようには、スムーズにことが運ばないようだ。

 職場では、「出世頭」として早々と課長になり、そこそこの活躍をしている。だが、その裏には不満が溜まっている。見方を変えれば、この結婚できない男性は、鬱屈した今の30代会社員の1つのモデルケースのように見える。読者諸氏はどう感じるだろうか。


いつまでも噛み合わない会話
中年男女の寒々しい見合い風景

 ここは、JR新宿駅西口から徒歩で10分ほどにある高級ホテルのラウンジ。2人は、「結婚相談所」を運営する会社の会員である。お見合いをしているはずなのだが、言葉が噛み合わない。

 村田(39歳)は、2時間の間、何度も途中で席を立とうと思った。テーブルを隔てて座る30代前半の女性が、自分の言葉にいちいち反論することに対して、気が滅入っていた。

「僕は転勤はもう、嫌だな……」

「そうですか……誰もが、嫌でしょう」

「……」

「犬を飼っているんですね? かわいいでしょう?」

「かわいいから、飼っているんです……」

「……」