企業によるツイッターの戦略的活用というと、ついつい身構えてしまいそうだが、『Twitter社会論』著者の津田大介氏の主張はいたって明快だ。本コラム執筆者の本荘修二氏との特別対談の後編は、題して、宴会部長に任せろ!

本荘:ところで、ツイッターはよく荒れにくいと言われますが、その理由は何ですかね?

津田大介
津田大介(つだ だいすけ)@tsuda
メディアジャーナリスト。著作権やコンテンツビジネスに詳しい。ツイッターでイベント等を実況中継する手法は「tsudaる」と呼ばれ一般用語になった。主な著書に『Twitter社会論』(洋泉社)『だれが「音楽」を殺すのか?』(翔泳社)『仕事で差がつくすごいグーグル術』(青春出版社)等がある。
Photo by Kiyoshi Takimoto

津田:理由は割と単純だと考えています。ブログの炎上は、コメント欄がずっと固定化されていることが大きい。だが、ツイッターの場合は違う。たとえば、本荘さんのページに行ったら、基本的に本荘さんの発言が載っているだけですから、本荘さんが失言してもそれが炎上しているかはパッと見には分からない。ブログの場合は、失言に対するコメントが同じページに表示されているから、見たときに「これは燃えている」と分かってしまう。

 もちろんツイッターでも、返信リストを見たり、検索機能を使えば、批判のコメントが出ているのは分かりますが、1クリックなり操作が必要です。しかも、ツイッターはどんどんタイムラインが流れていってしまう。1週間も経てば、過去のツイートを話題にする人はほとんどいない。面倒な人はブロックも出来る。機構として炎上しにくい。少なくとも炎上が固定化されていない点が、巨大なフローメディアであるツイッターの良さではないでしょうか。

本荘修二
本荘修二(ほんじょう しゅうじ)@shonjo
ボストン・コンサルティング・グループ、米CSC、CSK会長付、ジェネラルアトランティック日本代表を経て、現在は本荘事務所代表。多摩大学客員教授、経済産業省・産業構造審議会情報サービス・ソフトウェア小委員会委員でもある。
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本荘:なるほど。

津田:それから、何といっても140字という字数制限がいい。送り手側は何かを強い調子で言いたいとき、「言葉が足りないけれど、140字だから仕方ない」と思いながら書くし、受け手側も「ん、なんだこの発言?短絡的すぎるよ」と思っても、「140字だから仕方ないか」と忖度できる部分があると思うんです。

本荘:つまり、適度なあきらめがあると?

津田:そうです。良し悪しは別として、あきらめて、別にいいよっていうコミュニケーションなんだと思います。もっと深い議論をしたい人は、別の場所でやればいいし、実際にツイッターでそう伝えることもできる。

よく「ツイッターの最大の魅力ってなんですか?」という質問を受けるのですが、僕は「話が早くて、飲み会を5倍楽しくしてくれるツール」と答えています。