リスクオフは長期間は続かない
ただしその後にさらに大きな嵐が来る

 当面、大手投資家のリスクオフの動きは続くだろうが、長期間継続することは考え難い。彼らは資金運用を行うことによって、最終投資家から手数料を受ける仕組みになっている。いつまでも何もしないわけにはいかない。

 メルクマールとなる中国経済問題が一段落つけば、再び、リスク資産を積み上げる=リスクオンの行動を取る。中国政府が景気対策を打つことを前提に、早ければ1、2週間、遅くとも1、2ヵ月の間に彼らのオペレーションが本格的に始まると見る。そのため、金融市場の混乱は、それ程の時間がかからずに正常化することが想定される。

 ただし、それは長い目では“嵐の前の静けさ”と見るべきだ。その理由は中国経済だ。景気対策の効果で一時的に経済が浮揚するかもしれないが、中国が抱える根本的な問題の解決ができるわけではない。

 中国経済が抱える、人口構成の歪みによる労働人口の減少への対処や国内の消費基盤の拡大、そして社会保障制度の拡充など、大きな課題はどう考えてもすぐには目途がつかない。さらには、共産党一党独裁のシステム、民主化の遅れなど対応すべき問題は山積している。

 それらの問題を、現在の共産党政権が本当に解決できるだろうか。それはかなり難しい。最近の株式市場動向や天津の爆発事故の事例を見ると、共産党政権のコントロールの及ぶ範囲が限定されていることが分かる。

 恐らく、それは共産党政権も十分に認識しているはずだ。習政権とすれば、それらの問題に対し、時間をかけて少しずつ解決の道を探りたいというのが本音だろう。しかし、問題の緊急性は政権のタイムスパンと相いれない可能性が高い。

 そうすると、中国では、いずれどこかの段階で国民の不満が暴発することも考えられる。あるいは、シャードーバンキングの矛盾などを考えると、経済がさらに困難な状況に追い込まれる懸念がある。

 そうした中国の困難と、米国の景気下落のタイミングが重なると、世界経済には大きな下向きの力学が働くことになるかもしれない。その場合には、実体経済はさらに落ち込み、世界の金融市場も今回以上の混乱の渦に巻き込まれるだろう。