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未成熟な投資家層と
市場を理解していない政府
足元で、ギリシャ問題と並んで中国の株式市場の動向が世界中の注目を集めている。人民銀行の金利引き下げなどの影響もあり、同国を代表する上海総合株指数は6月12日までの一年間で約2.5倍にまで跳ね上がった。まさに“株式バブル”の状況だった。
バブルは永久に続くことはない。その後、上海の株式市場は下落に転じ、一時は下落に歯止めがかからない状況となった。株価の急落に対して、共産党政権はなりふり構わぬ株価下支え政策を打ち出し、7月9日~13日、株価はようやく10%以上反発した。
今回の中国株式市場の動向の背景には、個人投資家が取引の約8割を占めるという特性がある。主要先進国の株式市場には、大きく分けて二通りの投資家がいる。一つは機関投資家で、投資理論などの専門知識を持ち、それなりの合理性を持って運用に当たることが多い。
もう一つのカテゴリーは個人投資家で、彼らの多くは、どちらかというと機関投資家のように理論には精通していない。その時の相場の雰囲気などに影響されることもある。
中国の個人投資家は、最近、口座を開設して投資を始めた人たちが多いと言われている。彼らは、株式投資で儲かると思えば、資金を借りてでも投資を行う傾向が強いという。
同国の経済専門家の友人にヒアリングすると、「一種のギャンブル感覚で株式の売買をしている」と嘆いていた。そうした売買が多いと、今回のように、どうしても株式市場は上下幅が大きくなる。
もう一つの注目ポイントは、株価急落に対して、共産党政権が慌てて、なりふり構わぬ“力任せの対策”を打ったことだ。共産党政権は本当の意味で、市場の機能を理解していないのかもしれない。常に自信に満ちているように見えた、中国共産党政権の狼狽ぶりがよく分かる。