若手社員が育たないのを
“若手のせい”にしていないか

 若手人材は、社員みんなで育成するものであり、人事が育成するものではない。それは多くが理解していることではあります。しかし、企業業績が低迷する中、だれもが余裕を持てない現状では、若手人材を育成するなどという余裕を現場が持てないのも、無理からぬところがあるといえます。

 そして、そうした状況下で、なかなか育たない(ように見える)若手に対して、「ゆとり世代だからダメなのだ」というような安易なレッテル貼りが横行するということなのでしょう。問題は、社員みんなで育成するゆとりが持てないのはなぜか、言い換えれば昨今、「OJTが機能しないのはなぜか」を真剣に考えることであるはずなのです。ところが、「育たない(ように見える)若手」に問題の原因を求めているわけです。

 「不毛なこと」と言わざるを得ません。

 それはおかしいんじゃないか、という問題意識から、この連載も始まっているわけですが、「OJT」の問題は、また後の回で採りあげることにします。今回は、新入社員研修についての提言をします。

春眠に誘われがちな
「知識伝達型」の新入社員研修

 今年、ある大手企業から依頼された新入社員研修で、私たちは初めてのチャレンジをします。研修のメイン・テーマは「ビジネスマナー」と、若干のビジネス・スキルなのですが、その初日に「心構え研修」というのを実施します。

 ビジネス・スキル以前に、仕事に対する正しい信念を醸成することが成長のベースとして必要不可欠である、という考え方で企画し、そのことが「自分で食っていく覚悟」を持たせることにもつながるだろう、と期待しています(もちろん、狙い通りに成果を上げられるかどうかはわかりませんが)

 新入社員研修といえば、その昔、自分が受けた経験から言っても、いろいろなことを教えてくれるし、イヤだけどロールプレーイングをやらされたりして、社会人未経験の立場としては、刺激がないとは言えない。しかし、その大部分は一方的な「知識伝達型」の講義であり、ガマンして聞いているうちに季節柄、睡眠を誘発する場面がなくはない。