こうした取り組みを通じて、ある社員は「以前は、自分自身の仕事に落とし込んだときに、具体的に何にどう取り組んでいったらよいかわからなかったが、評価基準ができてから、自分のやるべきことがはっきりわかって迷うことなく取り組めるようになった」と振り返ります。

 先述したように、新しい人事評価制度を導入する際に「失敗する」と話していたリーダーも、今では部下を評価する側として意欲的に実践されています。こうした社内の変わりぶりを見て、永松社長は「社員の成長スピードアップが早まった」と手応えを感じていました。

価値観を合わせた採用で
ミスマッチの離職を防ぐ

 繰り返しますが、昨今の人手不足で中小企業は人材集めに苦慮しています。せっかく採用をしても、ミスマッチが目立って結局定着せずに早期離職につながりやすいのも課題になっています。しかし、経営理念とビジョンを人事評価制度と連動させることで、組織内に必要な人材像は何かが明確になります。これにより、現在社内にいる社員の底上げだけでなく、会社と価値観を共有できる人材、自己成長意欲が高い人材を選びやすくなります。

 ハーブ健康本舗では、新しい採用方式に切り替えてからは、一次面接で経営理念やビジョンを応募者に説明し、じっくり読んでもらって感想を聞くようにしました。「会社が社員に期待していることがこれほど明確になっているのは初めて」という驚かれることもよくあるそうです。

 応募者側との価値観、認識のすり合わせができたところで次に会社が必要とする基礎的な能力を見抜くテストにも、人事評価制度を通じて明らかになった要素を取り入れています。例えば同社では、理解力、論理力、感じ取る力、コミュニケーション力といった項目を重視して、面接などを通じて能力や会社との相性を見抜くようになりました。それも日頃の自社内の取り組みで積み重ねてきた経験値を元に採用の評価も決めているので、ミスマッチのリスクは格段に減少しました。

 実は、以前の採用方式では、人材像を明確にしていなかったことで、会社が求める水準に合わずに早期離職する人もいたそうですが、選考方法を変えてからは定着率も格段に良くなりました。

 社内の成長スピードがアップし、そして会社と価値観のある優秀な人材を補強したことで、ハーブ健康本舗は会社の成長を加速させていきます。当社がお手伝いを始めた2010年の売上高は7億円でしたが、2年後に「10億円の壁」を突破。翌年には21億円を達成して、わずか3年で3倍の驚異的な成長を遂げました。