ダイヤモンド社のビジネス情報サイト
経営のためのIT

めまぐるしく変わるITだからこそ
長期計画の策定が重要になる

内山悟志 [ITR代表取締役/プリンシパル・アナリスト]
【第48回】 2015年9月4日
著者・コラム紹介バックナンバー
previous page
4

ITロードマップ策定の全体の流れ

 具体的なITロードマップ策定の流れの全体像を図4に示す。前述のトップダウンおよびボトムアップからの情報のインプット(図4の①~④)を受けて、将来視点および現在視点の戦略課題を抽出する(図4⑤)

 次に、抽出した戦略課題に対する実現策および解決策を戦略施策として定義し、それをリスト化する(図4⑥)。リスト化した戦略施策に対しては、経営者やユーザーがその目的やその施策によって目指す姿をイメージしやすいように、一定のフォーマットで概要を記述する(図4⑦)

 抽出した複数の施策同士は、互いに関係性を持っている場合がある。Aを行ってからBを行うという前後関係や、CとDは合わせて同時に検討しなければならないといった関係である。こうした関係を整理し、施策関係図にまとめる(図4⑧)。それと同時に、施策をいくつかの観点から評価し、優先順位づけを行う(図4⑨)。施策関係図における施策間の関係と、施策評価における優先順位を基に施策の実行期間と実行順位を決定し、ITロードマップに落とし込んでいく(図4⑩)という流れである。

常に拠り所となることが
ITロードマップの意義

 ビジネスサイクルが短縮化し、テクノロジの転換期に直面する現在のような激変する環境であるからこそ、さまざまな活動の羅針盤となる長期視点のロードマップが必要となる。作成した長期ITロードマップは、経営者やユーザー部門との認識共有にも役立つものとなるはずだ。

 長期的なITロードマップの重要性とその策定プロセスについて述べてきたが、長期ITロードマップは毎年ゼロから作るものではない。一方で、1回作ったままで何年もそのままにし、形骸化させてしまっては意味がなくなる。ビジネス環境や技術の変化に応じて、毎年見直すことを習慣にすることが望ましい。

 ITロードマップは正確であることよりも、常に拠り所となるITロードマップが存在していることに意義があることを忘れてはならない。

previous page
4
IT&ビジネス
クチコミ・コメント

facebookもチェック

内山悟志
[ITR会長/エグゼクティブ・アナリスト]

うちやま・さとし/大手外資系企業の情報システム部門などを経て、1989年からデータクエスト・ジャパンでIT分野のシニア・アナリストととして国内外の主要ベンダーの戦略策定に参画。1994年に情報技術研究所(現アイ・ティ・アール)を設立し、代表取締役に就任。2019年2月より現職。


経営のためのIT

日々進化するIT技術をどうやって経営にいかしていくか。この課題を、独立系ITアナリストが事例を交えて再検証する。クラウド、セキュリティ、仮想化、ビッグデータ、デジタルマーケティング、グローバル業務基盤…。毎回テーマを決め、技術視点でなく経営者の視点で解き明かす。

「経営のためのIT」

⇒バックナンバー一覧