現地からの相談や情報が日本側の社員に流れてくるため、社内でも活発に海外展開についてのアイデアやサポートを考え始めます。そして、日本側にいるエース級人材は、現地若手社員から得た情報をもとに、日本側からの総合支援をどうすべきか考え、全社に働きかけ始めます。エース級人材は更に海外現地からの情報を、既存クライアントへの情報提供や、新たなドアノックツールとして、日本側でも活用し始めます。

 大きく端折った説明となりましたが、まず大きな違いは、前者は役員や上層部とエース級人材だけでプロジェクトを進めていたのに対し、後者はそれ以外の社員も巻き込んでプロジェクトを進めたことです。どのプロジェクトにも言えることですが、他の人間がやっているプロジェクトだからと興味を持たないのではなく、全社事業の一環として、皆が何か手伝えることはないかと考え始める姿勢が重要だと思います。

 また、海外現地の情報は、送り込んだ社員や上層部だけの知識と経験にするのではなく、全社で共有し有効活用されるべき財産です。1回の失敗でも、その原因や要因などが全社で共有されることによって、単なる失敗で終わるのではなく、知識価値として生かされるはずです。

海外赴任に向いている人材は
「ちょっと不真面目な若者」

 海外での経営経験が豊富な方に、どのような社員が海外現地責任者に向いているかを質問したところ、「ちょっと不真面目で、日本側の指示を半分聞き流すくらいの方が丁度いい」とおっしゃっていました。日本側もはじめから日本通りの成果は期待せず、日本での成果が100だとしたら50達成できれば御の字くらいで考えていた方がいいかもしれません。

 そして、いくらグローバル人材の育成を目指しても、肝心の企業側がグローバル化しなければ、成功できません。単純に日本人を海外仕様にするだけではなく、海外人材の雇用を進めることも、海外の多様化を理解できる組織へと変わる一つの有効な手だと思います。

 こういった場で連載をさせていただきながら恐縮ですが、海外展開にはWebや書籍ばかりで集めた情報だけを鵜呑みにするのではなく、まずは海外のその土地に行って、見て触って聞いて感じて、現地の人たちと話してみることが最も重要なことだと思います。

 海外に行くたびに、日本の良さを改めて感じます。2020年の東京オリンピックを前に、世界中で様々な日本企業とお会いできることを楽しみにしています!