海外のショッピングモールなどへの進出も進む日本企業。しかし、そうそううまくいく企業ばかりではありません

 日本企業の約4割が海外からの撤退を選んでいるという現状と理由をお伝えした前回。今回はよりブレイクダウンし、せっかくの海外進出を失敗に終わらせないために、進出企業が注意すべきポイントを5つに絞ってご紹介します。

 私たちが企業の方から「海外進出がなかなか上手く行かない」とご相談をいただくとき、これから挙げる5つのポイントについて尋ねると、必ずと言っていい程、どれか一つには当てはまっています。ということは、逆の視点から考えると、この5つのダメポイントに注意すれば海外進出失敗のハードルを下げることができるはずです!

「決定者は誰なんだ!」
進出決定までのタームが長い

「日本の役職者は決定権を持っていないのか?誰が決定できるんだ!」

 海外の企業の方々と話すと、本当によく言われるのがこの言葉です。

 日本企業が海外進出を検討するとき、まずは課長が視察に行き、現地企業の現場クラスの方々と話が進み、ぜひ一緒にプロジェクトを進めようとの合意を得ます。現地企業は早速アクションを開始しますが、日本側の動きはなぜか重くなります。

「なぜ具体的なアクションに移さないのか?」と問い合わせると「まだ社内承認が得られていないので動けません。次は部長が現地に行きますので」との回答が。そしてようやく部長が現地を訪れ、問題ないとの了承を得られたので、「やれやれ、それでは早速具体的なアクションに移りましょう」と伝えると、「海外進出に関する重要な承認なので、私ではなく取締役決済が必要です。次は取締役が来ます」と、またしても決済は下りません。現地企業は「俺たちは何回同じ話をするんだ!もう待っていられない!」と別の国の企業と話を進めてしまいます。

 一方、中国を例に挙げるとどうでしょう。中国企業は、5年以上前なら日本からの仕事がほしいということで、上記のような日本的な進め方でも待っていてくれました。しかし今では、彼らにとって、中国マーケットを確保することの方が重要なため、日本企業に対しては仕事ではなく、技術・知識・経験を求めています。当然、中国マーケットは中国企業のみならず、他国の企業も狙っているため、スピードを求められます。そのため、上記のようにあまりに遅い進展では、現地企業は業を煮やし、他国の企業と連携し、進めていってしまいます。

 社長自ら現地に赴き、その場で決済ができる体制で臨む!そのために考え得る様々なパターンを想定し、事前に準備をしておくことは、当然、必要なことだと言えます。