多くの企業がグローバル化を進めているなかで、残念ながら全ての企業の海外進出が上手くいっているわけではありません。むしろ海外進出を進めた企業のうち、実に約4割もの企業が撤退・または撤退を検討したことがあるといいます(帝国データバンク「海外進出に関する企業の意識調査」2014年10月15日)。また、先月には中小企業庁が「中小企業の海外事業再編事例集」を公表し注意喚起を促しており、中小企業にとって海外進出は課題が多いという現状が見受けられます。なぜこれほど海外進出の撤退が多いのか、これから様々な実例を踏まえ、お伝えしていきたいと思います。
仲間のクチコミがきっかけ?
経営者に足りない海外進出の動機
今後の日本国内の既存マーケットは、後期高齢化、少子化、大企業の現地生産・現地販売体制の推進などを考えると、拡大は難しく、縮小していくと見るのが順当でしょう。それは数字云々以上に中小企業の経営者の方々が、身をもって感じていらっしゃることだと思います。
たしかに、2020年の東京オリンピック需要や、国内の新規マーケット開発などで、必ずしも日本の全てのマーケットが縮小するとは言い切れません。ただ、それは希望的なものであって、今後企業を継続させ伸ばすという責務を背負った方々からすれば、悲観的に予測し、もし国内マーケットが拡大に進めばそれは想定外のプラスと考えるのが当然でしょう。
さて、最近、多くの中小企業の経営者にお会いすると、まず話に上がってくるのは、やはり海外進出についてです。
「今までは国内マーケットのシェア争いで売上を伸ばしてきたが、ここ数年売上利益の伸びは鈍化し、今後縮小が見込まれる日本マーケットだけで競い続けるのは難しいのではないか。やはり3年後、5年後、10年後を見据えた場合、今海外マーケットに出ざるを得ないのではないか」
このようなお話をしばしば伺います。また、2020年の東京オリンピックを見据え、早期に海外認知度を増すことで、国内売上の増加を見込む企業もあります。ただ、いざ海外展開を目指そうと思っても、そもそもどこの国がいいのか、また誰に相談すればいいのか分からない。例え相談相手が見つかったとしても、社内では海外事業戦略や海外販路の開拓などの経験者は勿論、英語や中国語を話せる人材などいないので、進めるとしてもどうすればいいのかといったことに悩んでいます。