――TPP(環太平洋経済連携協定)や米国とEUによる環大西洋貿易投資連携協定(TTIP)などの経済連携は、バイエルクロップサイエンスにとって商機につながりますか。

 当社は、原則として自由貿易に賛成の立場です。自由化が進むと、安全基準が緩和されて、危険な農作物・食品が輸入されやすくなるという意見が散見されます。これには同意できません。欧州のどの国の政府であっても、TTIPによって、高い安全基準を緩めるようなことは許さないでしょう。

 一方、農薬使用の認証手続きを簡素化するアイディアは一考に値します。当社は、各国から認証を得るために、膨大なデータ資料を提出し、煩雑な手続きを踏んでいます。我々が求めているのは、認証プロセスが二度手間になるような規制の重複はやめてほしいということです。

――日本で深刻化している「農家の高齢化」は世界で共通した課題です。若い農家をどのように支援していきますか。

バイエルクロップサイエンスなどが8月にオーストラリア・キャンベラで開いた第2回世界若者農業サミットで、食料の安定供給のための取り組みをプレゼンする各国の代表者ら。SNSと運動させ食料廃棄を減らす取り組みなど、さまざまなアイディアが出た。日本からは、福島県で農業分野でのICT技術普及に取り組むNTT東日本の高尾育穂さん(25)とオランダのワーヘニンゲン大学大学院で農業経済学を研究する永澤拓也さん(23)が参加した Photo by H.S.

 将来の農業を担う若手リーダーの育成支援が極めて重要だと考えています。世界的に、農業に関心を持つ若い人が減っているのは事実ではありますが、人類が安定的かつ持続的に発展していくためには農業の振興が不可欠です。しかし、そうした理解は深まっていません。

 8月にオーストラリアで、「世界若者農業サミット」を主催しました。世界33カ国から若手農家や研究者100人を集めて、地球レベルで食料安定供給に向けた具体策について討論する、という非常に有意義なイベントです。こうしたイベントを定期的に開き、次世代リーダーの育成と科学の発展を支援していきます。農業に対するイメージをよりポジティブなものに変えていくために貢献したいです。