改革は第一歩を踏み出した段階
農業の活性化は容易ではない

 2月9日、全国農業協同組合中央会(JA全中)は、安倍政権が提示した体制を見直す改革案を受け入れた。これにより、1954年に創設されたJA全中を頂点とする、農協制度が大きく変革されることになった。

高齢化が進む農業。このままでは消滅の危機だ
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 改革案受け入れの背景には、農業従事者の平均年齢が60代半ばを超え、仕組みを変えて若い人たちの参入を促さないと、わが国の農業が消滅の危機を迎えるとの危機感がある。また、TPP交渉が進展する中で、農業の競争力強化が喫緊の課題になったこともある。

 これまで、政治にとって重要な集票システムとして、農協システムの改革にほとんど手を付けられなかったことを考えると、今回のJA全中の事実上の解体は農業改革の第一歩と言える。

 ただ、安倍政権が農業改革の第一歩を踏み出したことは評価できるのだが、各都道府県にある中央会は残るなど妥協点がある。そうした妥協点を残したままで、本当にわが国の農業を活性化できるかについては疑問符が付く。

 今回の改革の目論見は、農協システムの司令塔の部分であるJA全中を解体し、今までJA全中の傘下にあった700の農協に、地域の特色を生かした独自の経営を促すことである。それと同時に、さらに多くの民間企業の農業部門への参入を促すことだ。

 それによって、実際の農業生産者が直接、消費者のニーズを汲み取り生産活動を変えていくことが目的だ。

 問題は、各農協が各農家と一緒になって地域の特色を生かし、農業を経営することができるようになるか否かだ。それは、JA全中を解体しても、容易に可能になるものではない。