入山 そうですね、グッズも売れるし。

木谷 ライブ映像を劇場で放映したりもできる。アナログ空間を複数作れるんですよね。

 これは色々なところで言っているのですが、新日本プロレスをグループ会社にした理由のもう一つは、プロレス事業が音楽ビジネスに近いことが挙げられます。当時、音楽ビジネスは5年でライブの数が倍になって、観客動員数も倍になっていたんですよね。「それなのに、プロレスはなんで衰退するの」って、同じライブビジネスなのにっていう思いがありました。

入山 そうですね、音楽もCDでは全然売れないけれど、ライブの観客動員は増えていますからね。

競合はやはりWWE

入山 これだけプロレスが盛り上がっていても、木谷さんはまだ危機感をお持ちだったりしますか。

入山章栄(いりやま・あきえ)
早稲田大学ビジネススクール 准教授
1996年慶應義塾大学経済学部卒業。1998年同大学大学院経済学研究科修士課程修了。三菱総合研究所を経て、米ピッツバーグ大学経営大学院博士課程に進学。2008年に同大学院より博士号(PhD.)を取得。同年より米ニューヨーク州立大学バッファロー校ビジネススクールのアシスタントプロフェッサー(助教授)に就任。2013年から現職。Strategic Management Journal, Journal of International Business Studiesなど国際的な主要経営学術誌に論文を発表している。専門は経営戦略論および国際経営論。主な著書に『世界の経営学者はいま何を考えているのか』(英治出版)がある。
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木谷 常に危機感だらけですね。世界一のプロレス団体であるWWEも動画配信サービスをしています。その「WWEネットワーク」は会員数が120万人いるんですよ。さらにWWEは配信事業に集中投資をしていて、3~4年後に会員数を300万人まで増やすと言っています。300万人までいったら、毎月20億の超過利益が出るようになります。

 それだけ利益が出る体制になれば、中堅の選手にも1億くらいの年俸を払えるようになりますし、他のジャンルから選手がとれるようになるんですよ。例えば、バスケットとか、野球のメジャーリーグからWWEが選手をとれるようになると思います。ということは、うちのトップ選手だって引き抜かれる可能性がある。

 だから私たちも動画配信事業の会員数を、まずは20万人にしなきゃまずいと感じています。その会員数を獲得できれば、トップ選手に億単位の年俸を払えるようになります。WWEに対抗していくには、時間は2、3年ぐらいしかないという焦りがありますね。