ラグビーワールドカップの開幕が目前に迫ってきた(9月18日~10月31日・イングランド)。

 4年に1度行われるラグビー最強国決定戦で、今回で8回目を迎える。サッカーのFIFAワールドカップに比べれば歴史は浅いが(昨年のブラジルW杯が第20回)、国の威信をかけて世界一に挑むという構図は同じ。世界中のラグビーファンが熱狂する1ヵ月半だ。

 アジアで実力ナンバー1の日本は、これまでの7大会に続き今回も出場するが、サッカーのW杯と比べると今ひとつ注目度は低いようだ。過去の大会で世界の強豪との大きな差を見せつけられたこともあるだろう。W杯での日本の戦績は24戦して1勝21敗2分という惨憺たるもの。サッカー日本代表はW杯でグループリーグ突破の実績が2回あるが、ラグビーの方は第2回大会でのジンバブエ戦であげた1勝から24年間勝っていない。勝てれば大喜び、という状態なのだ。

 とはいえラグビーファンは今大会の日本代表を、期待を込めて見ている。「これまでとは、ひと味違う戦いを見せてくれるのではないか」という要素があるからだ。

名将エディー・ジョーンズの
采配に注目

 まず最も大きな要素はW杯で輝かしい実績を持つ指導者をヘッドコーチ(HC・監督)に招いたことだ。エディー・ジョーンズ(55)である。オーストラリア人のジョーンズは、2003年地元オーストラリアで開催された第5回W杯で母国の代表監督を務め準優勝。2007年の第6回W杯では南アフリカのテクニカルアドバイザーとしてチームを優勝に導いている。ラグビー界に名を轟かせる名将なのだ。

 ジョーンズHCが日本代表の強化に着手し指揮をとるようになったのは2012年から。当初は今大会に出場している中堅国フィジー、トンガ、サモアに接戦はするものの勝ち切れない試合が続いたが、秋には確実にレベルアップしていることを示して見せた。アウェーの厳しい環境で強豪と対等に戦えなければならないという考えから欧州遠征を敢行。今大会にも出場するルーマニア(現世界ランク17位・以下同)とジョージア(13位)に勝利したのだ。

 翌2013年にはホームではあったが、ラグビー強豪国のひとつに数えられるウェールズ(5位)に勝利する快挙を成し遂げ、カナダ(18位)、アメリカ(16位)にも勝った。また、2014年にはサモア(12位)、カナダ、アメリカ、イタリア(15位)を相手に4連勝。勝った相手で世界ランクひとケタの国はウェールズだけではあるが、W杯に出場する国にも勝てるところまで実力を引き上げたのだ。