──なるほど、その演出スタイルは原作『嫌われる勇気』にある「いま、ここを真剣に生きる」というアドラーの教えと通底するかもしれませんね。お二人は原作も読まれたと思いますがいかがでしたか?

愛加 今回のお仕事が決まったとき、すぐに原作を読んだんです。書店に行ったら一番目立つところにドーンと置いてありました(笑)。私はアドラー心理学は初めて学んだんですが、お芝居とは関係ない部分でも自分がこれから生きていく上ですごくためになることがいっぱいありました。多くの人にこの内容を知ってほしいなと思って、すぐ親に電話して「読んだほうがいいよ! これ読んだら世界変わるから!」って(笑)。それくらい衝撃を受けた本でした。今回の舞台の脚本はそこにまた新たなストーリーが加わって、いろいろな視点からいろいろな人が救われるお話なので、観に来てくださった方の世界が観終わった後に変わればいいなと思っています。

黒澤 私もお仕事が決まってすぐに本を読ませていただきました。いつもは自己啓発系の本は最後まで読み切れないことも多いんですが、この本は最後までバーッと一気に読み通せました。全編が会話なのですごく頭に入ってくるんですよね。なのでこれを舞台にするって面白そうだなと素直に思いました。私は、本に書いてあることを実践してみたりもしました。たとえば怒っちゃったとき「あ、これってもしかして、何か目的があって怒っているのかも……」とか(笑)。私も原作はいろいろな人にお勧めしました。和田さんの脚本を読んだときは、青年だけじゃなくいろいろな人がアドラー心理学に出会ったらどうなるのかを見られた気がしましたね。

──では最後に観に来て頂く方々へのメッセージをお願いします。

愛加 宝塚を退団して初めてのストレートプレイなので、これを機に生まれ変われるよう、役柄である「下村沙織」を精一杯演じます。観に来てくださった方々がこの舞台をきっかけに何か少しでも良い方向に変わっていただけたら嬉しいので、ぜひぜひ多くの方に劇場まで足を運んでいただきたいです。

黒澤 原作の世界観はもちろん、舞台によって生まれた世界観もぜひ味わって欲しいです。私の演じる陽子という役柄は、観に来てくださる方たちに一番近い立場じゃないかと思います。そういった部分でも感情移入できるような役として演じたいですし、皆さんにもその場に一緒にいて頂きたいと思っています。

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俳優の皆さんの熱い思いが込められた『嫌われる勇気』の舞台化、ぜひ公演開始を楽しみにお待ち下さい!