LDH(旧ライブドア)が、中核子会社のポータルサイト大手「ライブドア」を、韓国インターネット大手・NHNの日本法人に63億円で売却すると発表した。かつて“ベンチャー企業の旗手”として社会の注目を集めたライブドアだが、中核子会社を売却したことにより、「同社の時代は事実上終わった」と報道されている。

 それは、単に「ライブドア」という一企業が、外国企業に買収されたという事実だけに留まらない。一時期、眩いばかりの脚光を浴びたIT関連ベンチャー企業の多くが、ここへきてそのエネルギーを失いつつあることを象徴している。

 よく「わが国では有力ベンチャー企業が育ち難い」と言われる。その背景には、「失敗を恐れる」わが国の国民性があるのかもしれない。また、1990年代初頭から続く景気低迷より、人々の意識が内向きになり、“ベンチャースピリット”が低下したことも影響しているのだろう。

 しかし、失敗のリスクを恐れて新しい分野へのチャレンジを放棄していては、経済全体の新陳代謝が遅れてしまう。そうした状況が続くと、わが国経済は旧態依然とした状況から抜け出すことができず、世界経済の急激な変化のなかで取り残されてしまう恐れがある。

 そうした状況を打ち破るには、人々が元気になって、新しいビジネスにチャレンジすることが必要だ。それを実現するためには、かつてホンダやソニーがベンチャー企業として育ち、世界企業としての地位を築いてきた現実を思い出せばよい。

 それらの企業が、戦後の焼け野原から立ち上がって、現在では世界有数の企業に成長していることを思い浮かべるのである。そして、我々の中に潜んでいる「アニマル・スピリット」を覚醒させる必要がある。

成長のために外を向く中国に対して
内ばかりを向いている日本経済の深刻

 先日、ロンドンでファンドマネジャーをしている友人が、中国に行ったついでに東京にやってきた。彼は、「外を向いて発展しようとする中国と、内を向いて道に迷っている日本は好対照だ」と指摘していた。