マクドナルドの看板マクドナルドが転売問題解決するつもりがなさそうだ Photo:PIXTA

「またか…」多くの人がそう感じた、マクドナルドのハッピーセットをめぐるポケモンカードの転売問題。転売ヤーの殺到、大量の食品ロス、SNSでの批判の嵐。これだけの騒動に対し、マクドナルドが提示した対策は「やる気ゼロ」と言わざるを得ないものでした。加えて、一連の炎上騒動は、マクドナルドにとって「ノーダメージ」どころか、計算ずくの戦略である可能性が浮かび上がります。SNSの攻撃も「こうかがない」とばかりに、彼らが決して本気の転売対策を打たない冷徹な本音とは。その裏側を経済学的に読み解きます。(百年コンサルティングチーフエコノミスト 鈴木貴博)

転売と食品ロスに批判の嵐
だが、マクドナルドは“ほぼ無傷”

 マクドナルドのハッピーセットが炎上した問題ですが、結果としてマクドナルドは無傷どころか得をしているのではないでしょうか。

 今回の事案は既に多くのメディアで報道されていますので、簡単にポイントだけをまとめます。8月8日にマクドナルドがポケモンのおもちゃとポケモンカードがもらえるハッピーセットを発売しました。

 すると発売当日の朝、明らかに転売ヤーと思われる利用者多数がマクドナルドの店頭に殺到しました。子どもにせがまれて8時台にお店を訪れた利用者の話ではその段階ですでに新規の注文は受け付けられない状態だったといいます。

 ハッピーセットは事前に「ひとり5つまで」と告知されていたにもかかわらず、モバイルオーダーでたくさん購入できたことでこのような状況が生まれたと報道されました。また注文可能な数がポケモンカードの在庫とは連動しておらず、店頭で自分の順番が来るのを待っていた人も「この先はポケモンカードはなくなります」と告知されたそうです。

 ポケモンカードがなくなってもおもちゃだけはつけてもらえる状況だったというお店もあったようです。そのため順番が来た人に「どうしますか?」と訊ねたところ「私では判断できないので確認させてくれ」と言って誰かに電話をかけ始めたそうです。こうして午前中、多くのお店でまともに営業できない状況が続きました。