実際に働いてみなければわからない大手人気企業のリアルな姿を、「Vorkers(ヴォーカーズ)」に寄せられた社員・元社員のクチコミからリサーチ。社員満足度と経営者への提言からみる会社の実態をご紹介します。
第6回目は建設業界の大手ゼネコン対決。新国立競技場の再入札をめぐって注目が集まる大成建設と竹中工務店を見ていきます。当初の計画では、スタンド部分を大成建設、屋根部分を竹中工務店、で施工が決まっていました。
大成建設は、2023年の創業150周年を控え、今年度から長期的経営戦略にあたる「TAISEIVISION 2020」の第3フェーズに突入。2014年度連結売上高は1兆5733億円。2013年度とともに1兆5000億円を超え、順調な業績推移と言えそうです。国家的プロジェクトや大規模民間プロジェクト、そして海外インフラ輸出への参画に注力しており、新国立競技場の再入札に関しても先日共同通信の取材で、「負けるわけにはいかない」(同社社長)「国家的プロジェクトであり参画したい」(同社広報担当者)と意欲を示しています。
竹中工務店は、「サステナブル社会の実現」を掲げ、2025年に向けたグループ成長戦略を昨年からスタートさせました。「収益力の改善と、将来の成長に向けた事業基盤の構築」のため、海外建設事業においても対応体制を整備し始めています。同社の特徴として、「あべのハルカス」を手掛けるなどデザインへの評価が高く、今年の7月には、国内の優秀な建築作品へ贈られるBCS賞を受賞。2014年度連結売上高は、1兆1506億円。新国立競技場の再入札に関しては、「検討する」に留まっています。
東京オリンピックを見据え当面は好景気が予想される建設業界ですが、長期的には人口減少を背景とした需要の減少や担い手となる労働力の不足など内在する課題もあります。長期的な経営戦略が必要とされる建設業界において、新国立競技場の再入札で注目を浴びる両社の社員たちのリアルな声を見ていきましょう。
※2010年3月~2015年10月までにVorkersに投稿された大成建設(302件46人)、竹中工務店(154件22人)へのレポート回答456件(回答者数:68人)を分析
「待遇面の満足度」が高い竹中工務店
「20代の成長環境」に優れた大成建設
まず、Vorkersによる社員満足度を測る8項目の数値評価からみていきます。この評価項目総合を総合して見ることで、両社の特徴が浮かび上がります。
総合評価では両社とも3.2と評価が並びましたが、チャート図を見ると、両社の評価されている項目が異なることがわかります。
大成建設は「20代の成長環境」として3.9ポイントを獲得し、竹中工務店の同項目での3.5ポイントを引き離しています。「20代の成長環境」で社員から評価されていると言えます。「20代の成長環境」と関わりの深い「風通しの良さ」、「社員の相互尊重」でも竹中工務店より評価が上回りました。
一方、「待遇面の満足度」では3.6ポイントを獲得した竹中工務店に軍配が上がりました。