今ある枠組みの中で、少しでも希望につながる方向性はないだろうか?

「まず、厚労省の局長通知で、冬季加算に1.3倍の特別基準を適用できる例が認められています。重度障害者加算の対象になっている方・介護度3以上の方・病気や障害のため常時在宅している方・赤ちゃんがいるご家庭が対象です。そういうご家庭では、まず特別基準を適用してもらえるように申請することです」(佐藤さん)

 さらに細川さんは、現在行われている「医療費だけの生活保護(医療扶助単給)」と同様に、メニューごとに用意された生活保護費の「単給」を拡大することの可能性も考えている。

「冬季加算の単給、始めたらよいのではないかと思います。今でも、冬だけ生活保護という方がたくさんおられるのですから。また、特別基準や加算をプラスαで出していくことも検討されてよいのではないかと思います。今年、冬季加算は北海道全体で一律ですが、函館と稚内では寒さが全然違います。地域の状況に応じた特別基準を作って加算するようにしないと……これから、大変なことになるのではないかと怖れています」(細川さん)

 帰途、私は道路の整備状況などのチェックと頭のクールダウンを兼ね、札幌駅までの約3kmを、電動車椅子でたどった。小雨が降ったり止んだりの夕方、傘をさしていても冷たい小雨に体温を奪われ、雨が止んでいるときには湿った冷たい風に体温を奪われ、札幌駅に到着したときには「凍える」という感じになってしまっていた。しかし、アメダスによれば気温は摂氏5~6度。私にとっては決して「寒い」という気温ではない。おそらく、数値や言葉や写真で捉えられない「その地の特徴」「その地の生活」が数多くあるのだろう。これからも、限界はあっても、できるだけ捉える努力をしようと思う。地域の特性に経済的困窮が重なった場合に暮らしがどうなるかを捉えるには、まずは、捉える努力を積み重ねるしかないだろう。

 次回は、生活保護世帯で子ども時代を過ごした人が、どのように経済的自立へと苦闘したかに関するレポートを予定している。教育だけ・家庭環境だけ・本人の努力だけでは補えない問題は、どのように現れ、どのように克服され、限界はどこにあるのだろうか?