香港で購入できる債券(社債・国債)の種類、量については、投資信託以上に日本との差が顕著に出た。ダイヤモンドQ変種部が、香港はHSBC(香港上海銀行)、日本は野村證券で扱っている代表的な債券を比較してみた。

 香港はHSBC香港のホームページ、日本は野村證券のホームページを基に比較してみた。日にちは8月29日。利回りは発行したときの当初利回りとした。割引債などは除外した。HSBCはネットで購入可能だが、野村證券は店舗を通じて購入する必要がある。日本のネット証券はネット購入が可能だ。

 そこで分かったのが、香港で購入できる債券の利回りの高さ。トップのフィリピン政府の国債は9.88%と高く、格付けは投資適格に収まっている。マレーシアの政府系資源会社であるペトロナスキャピタルも7.88%で、ムーディーズ格付けがA1と悪くない。金額が1000万円を超えるものも交じっているが、安いものは10万円以下でも投資可能だ。債券の内容もさまざま。日本では海外の外貨建て債券は国債、国営企業くらいしかないが、香港では民間企業の債券も扱っている。

 対する日本で購入できる債券は、外貨建てについては、米州開発銀行の6.25%が最高利回り。ニュージーランド国債、カナダ国債などが続く。円建て債券に目を転じると、ソフトバンクグループの普通社債が1.26%で最高で、日本国債となると1%にも満たない。

 なぜこうした差が生まれてしまったのか。

「香港ではユーロ市場や香港で起債された債券が目を引く。人民元建て債券が注目されているが、中国系の金融機関が発行した債券は香港でしか手に入らない。そもそも日本市場は販売までの手続きが複雑で、基本的には個人投資家が購入できる単位に分割されて販売されることはまれだ」(小池正一郎・グローバルマーケットアドバイザー)と説明する。

 海外での債券投資には、日本では味わえない「うまみ」もある。