人民元のSDR認定については、IMFは11月の理事会で決定する予定です。欧州フランス出身のラガルドIMF専務理事はすでに「時間の問題」だと習国家主席に伝えていますし、欧州勢は支持しています。

 実は、オバマ政権は、人民元の変動幅拡大、切下げ抑制(米国は切上げを要請してきた)と金融の更なる自由化を条件に認める方向に転換した可能性が高いようです。つまり、人民元決済銀行等が米国にも設置・認可される可能性すらもあるのです。

 このような状況であるからこそ、麻生財務相が米国も参加しているIMF/世界銀行総会の開催時に中国に依頼をしたのでしょう。

 しかし、日本のみならず、米国まで、中国にすり寄る形になると、中国への対抗目的を持つ“TPP”による中国牽制機能も弱まることになります。この国際金融・政治の微妙な動きからは当面、目が離せません。

※「宿輪ゼミ」は2015年9月に、会員が“1万人”を超えました。
※ 本連載は「宿輪ゼミ」を開催する第1・第3水曜日に合わせて、リリースされています。連載は自身の研究に基づく個人的なものであり、所属する組織とは全く関係ありません。

TPPの中国牽制機能も後退?<br />人民元国際化をめぐって中国支援に転換した日米
【著者紹介】
しゅくわ・じゅんいち
博士(経済学)・エコノミスト。帝京大学経済学部経済学科教授。慶應義塾大学経済学部非常勤講師(国際金融論)も兼務。1963年、東京生まれ。麻布高校・慶應義塾大学経済学部卒業後、87年富士銀行(新橋支店)に入行。国際資金為替部、海外勤務等。98年三和銀行に移籍。企画部等勤務。2002年合併でUFJ銀行・UFJホールディングス。経営企画部、国際企画部等勤務、06年合併で三菱東京UFJ銀行。企画部経済調査室等勤務、15年3月退職。兼務で03年から東京大学大学院、早稲田大学、清華大学大学院(北京)等で教鞭。財務省・金融庁・経済産業省・外務省等の経済・金融関係委員会にも参加。06年よりボランティアによる公開講義「宿輪ゼミ」を主催し、来年の4月で10年目、まもなく200回開催、9月に会員は“1万人”を超えた。映画評論家としても活躍中。主な著書には、日本経済新聞社から(新刊)『通貨経済学入門(第2版)』〈15年2月刊〉、『アジア金融システムの経済学』など、東洋経済新報社から『円安vs.円高―どちらの道を選択すべきか(第2版)』(共著)、『ローマの休日とユーロの謎―シネマ経済学入門』、『決済システムのすべて(第3版)』(共著)、『証券決済システムのすべて(第2版)』(共著)など がある。
Facebook宿輪ゼミ:https://www.facebook.com/groups/shukuwaseminar/
公式サイト:http://www.shukuwa.jp/
連絡先:info@shukuwa.jp