タンパは米国フロリダ半島のほぼ中央、西海岸に位置する。昨年まで、元ヤクルトの岩村明憲選手が所属した、メジャーリーグのタンパベイ・レイズがホームグラウンドとする街でもある。
このタンパと同じフロリダ半島にあるオーランドを結ぶ予定の新線こそ、JR東海(東海旅客鉄道)が、新幹線売り込みの最重要ターゲットとしている路線の一つである。今年1月には、オバマ大統領が、80億ドルにのぼる高速鉄道、都市間旅客鉄道輸送に対する予算割り当てを発表したが、そのうちタンパ~オーランドには、12.5億ドル(約1125億円)が配分された。すでにおカネが付いているのだ。フロリダ州が見込む同路線の総事業費は、32.3億ドル(約2900億円)という巨大なプロジェクトである。
航空機や自動車よりもエネルギー効率が高い鉄道輸送は、世界的な環境問題の高まりを受け、世界中で注目を浴びている。米国、中国、ブラジル、ベトナムなどなど、高速鉄道導入の計画が目白押しだ。
ついに本気なったJR東海
虎の子の新幹線とリニアを海外に
日立製作所や川崎重工など車両メーカーは、早から海外へも進出しているが、昨年から真打ちとも言えるJR東日本(東日本旅客鉄道)、JR東海が本格的に海外展開に乗り出して来た。特にJR東海は、葛西敬之会長が、近著のなかで「創業第二期のもう一つの課題が、N700系新幹線のトータルシステムと超電導リニアのトータルシステムの海外輸出です」(『明日のリーダーのために』)と明言。昨年7月には、担当セクションとして「海外高速鉄道プロジェクトC&C事業室」も発足させた。