ここで僕が強調したかったのは、「とりあえず情報収集から」はすべて無価値であるということだ。いくら精度の高い情報を効率的に集めたとしても、そこから組み立てられる結論の質が低ければ、その情報収集は失敗である。
「結論思考」を意識し、「仮説→検証」を繰り返す
「まず情報」ではなく「まず思考」であるとすると、情報収集の意味も変わってくる。情報収集は、あなたの答えを「つくる」ための素材というよりは、あなたの答えを「検証」ないし「補強」するための材料だということだ。
したがって、さきほどのプロモーション提案にしろ、ウェブメディア企画にしろ、まずやるべきは「質の高い結論仮説を考える」ことだったのだ。そして、その仮説を検証するために、情報収集をする。
もちろん、情報収集の結果、その結論仮説が間違っていたと判断せざるを得ないときもあるだろう。
その場合は、新たに結論仮説をつくり、新たに情報収集をすればいい。
時間が許す限り、結論仮説と情報とが整合性を持つまで、この「仮説→検証→仮説……」を繰り返すのである。
このように、あらかじめ明確な結論仮説を明示してから情報収集をすることには圧倒的なメリットがある。
冒頭にあげた問題点と照らし合わせてほしい。
1. 結論仮説が顕在的
→ 検証すべき仮説をチーム内で共有できる
→ 最も価値が高そうな仮説から着手できる
2. 結論仮説が明確
→ 情報収集すべき範囲が明確なのでモレが出づらい
→ 情報収集すべき範囲が明確なので効率的(時間をとらない)
何よりものメリットは、集めるべき情報が明確であるがゆえに、情報収集のムダを一気に減らせるということだ。
つまり、「情報収集→結論の顕在化」という、やってしまいがちなパターンよりも、「結論仮説→情報による検証」のほうが1サイクルあたりの時間は短い。
もしも、検証がうまくいったのであれば、顧客に素早く提案ができるかもしれない。
あるいは、検証がうまくいかなかったとしても、別の結論仮説を構築してそれを再検証するだけの時間的余裕が生まれる可能性が高い。
「ビジネスはスピードである」という観点からしても、結論を先行させた情報収集のほうが、圧倒的に勝てる可能性が高いのである。
質の高いアイデアを素早くアウトプットしている人は、基本的にこのプロセスを素早く回転させている。逆に、情報収集から手探りで始める人は、どうしてもアイデアの精度を高めるのに時間がかかってしまうのである。