今回の内紛劇を見ても、橋下徹市長にとって正論はどうでもよく、ただなんとなく「戦ってる雰囲気」だけを意図的に人々へ伝えているように見える。これが政治の世界の特徴であり、それを今の政界で最も頻繁に駆使しているのが橋下徹流の「伝える技術」ではないか。そして、この「伝える技術」は政治の世界以外にも応用できるはずだ。

中身よりも「伝え方」が大事
人を惹きつける3つのポイント

 筆者自身、ラジオパーソナリティとしてマイクの前に座ったり、マッキンゼーアンドカンパニーでロジカルプレゼンテーションを求められたり、研修講師として「伝え方」を新入社員などに講義した経験を持つ。その経験から学んだ、人に「伝える」ために気を付けるべきポイントを、維新の内紛劇を題材にしてエトス(個人の特質)、ロゴス(論理性)、パトス(感情)という3つの観点から説明したい。

 冒頭でも述べた通り、橋下徹市長の言葉はよくも悪くも相手に「よく伝わる」と思う。

 その理由は、橋下徹市長が自らの「個性」を磨き、それを抑えることなく発揮しているからである。逆に、役所の文書や電機メーカーが商品に添付する家電の説明書などは、非常に読みにくいと感じる人が多いだろう。なぜなら、万人に誤解を与えないようにわざと文章から個性を殺してしまっているからである。

 人への伝え方には「個性」がある。橋下徹市長のような攻撃的なスタイルが似合う人もいるが、筆者が同じような物言いをしたら一瞬で嫌われてしまうだろう。したがって、「伝え方」のスキルは個々人の特性に応じて身につけねばならないのだが、読み書き双方で使え、おそらく多くのケースで有効なエトスを3つ紹介したい。

 1つめは、「短い言葉を使え」ということだ。橋下徹市長は情報発信を文字制限のあるTwitterで行っている。短い言葉でズバズバと持論を展開する様は実に小気味が良く、切れ味が鋭い。ビジネスの世界でも「エレベータートーク」という言葉がある。コンサルタントは、エレベーターの中でばったりクライアントに出会った場面を想定し、30秒程度で自分の言いたいことを伝えるよう訓練させられる。また「1スライド1メッセージ」という言葉があり、基本的にパワーポイントで資料を作成する場合にも、1枚に込めるメッセージは1つだけであり、伝えたいことは1行で表現せねばならない。なぜなら、それ以上の分量は「伝わらない」からだ。

>>後編『ビジネスにも役立つ!? 橋下徹の維新の党批判に学ぶ「伝え方の極意」(下)』に続きます。

>>後編『ビジネスにも役立つ!? 橋下徹の維新の党批判に学ぶ「伝え方の極意」(下) 』を読む