「6月選考開始」への変更でも
“採用カルテル”は変わらない

 さて、経団連企業において、選考活動解禁を6月に変更する、目下検討中の新スケジュールがルール化されることで、何が起こるだろうか。

 まず、大学では、春学期の授業に対する4年生の出席が、これまでよりも顕著に減ることが予想できる。

 会社説明会が3月に解禁されるので、春休みに会社との接触が始まるからこの期間は学業の邪魔にならないが、春学期の最初の2ヵ月程度は、4年生のスケジュールも頭の中も就職活動で一杯になるはずで授業どころではないだろうし、会社側は自分たちの時間の都合で学生と接触するだろうから、「学業への支障」は大いにあるはずだ。現スケジュールよりも、「学業への支障」は大きいだろう。

 一方、学生にとっては、実質的な内々定を取る時期が前倒しされ、「疑心暗鬼の期間」が短縮化するから、精神的にはいくらか健康的だ。

 採用側の事情はどうか。世間体を気にする大手の企業が、就職活動期間の後半に横並び的に一斉に内々定を出して、大手企業同士の競争は抑制しつつ、「滑り止め企業」に内々定している学生を含めて後から優秀な学生を取り込むことができる──そうした経団連による「採用カルテル」の効果は基本的に変わらない。

 以前からそうだが、経団連による「申し合わせ」や「指針」といった名称で呼ばれる採用活動の自主規制ルールは、学生からの人気が高い大手企業がお互いを牽制して採用を安定的に進めるための、「談合」ないし「カルテル」であった。同時に、立場の弱い企業が(例えば大銀行よりも人気のない、証券会社が)ルールを破って選考活動解禁前に内々定を出して学生を確保しようとするような「フライング行為」は大目に見られてきた。

 経団連の採用活動の指針は、メンバーの中でのカルテル破りに罰則がない一方で、その分カルテル自体に対しても世間の批判が緩い、不思議なカルテルであり続けている。