今年10月下旬、セブン&アイ・ホールディングスの村田紀敏社長は、ニューヨークにいた。2016年2月期の中間決算を海外投資家に説明するためだ。
実はそのとき、村田社長はある投資ファンドの幹部に会っている。そのファンドとは、不振に陥った企業の株式を大量に取得して改革を迫り、株価の引き上げを狙う「物言う株主」の米サード・ポイントだ。
席上、サード・ポイント側は、セブン株の一部取得を明らかにした上で、不振の総合スーパー「イトーヨーカ堂」の分離を含めた事業の見直しを求めてきたという。
その後、サード・ポイントが投資家に送った書簡によれば、EBITDA(利払い・税金・償却前利益)が世界的な同業他社と比較して低いと指摘、その原因は業績悪化から抜け出せない傘下のヨーカ堂にあるとしている。
そのため、ヨーカ堂をグループから切り離して独立した企業として再建、セブンはコンビニエンスストア専門会社として展開すれば「投資家に有意義な利益が生まれる」と訴えているのだ。
関係者によれば、サード・ポイント側は、そうした改革を進めて現在77円を予定している年間配当を「2倍程度に引き上げるべきだ」と主張しているという。