小売り大手“2強”が新たな店舗を相次いでオープンさせた。イオンは完全子会社化するダイエーで、食に特化した実験店を披露。セブン&アイ・ホールディングスは大型商業施設内でイトーヨーカ堂の看板を外す試みを始めた。そこには総合スーパー立て直しの思惑が透けて見える。

 イオングループの中核として、今までにないスーパーをつくっていく──。

食に特化したイオン・フード・スタイル・ストアの実験店は中食を充実させ(上)、植物と健康を軸とした売り場を新設した(下)
Photo by Hiroyuki Oya

 11月29日朝、千葉県市川市のショッピングモールで、核テナントであるダイエーの村井正平社長が声を張り上げた。

 3日前の臨時株主総会で、2015年1月にイオンの完全子会社になることが正式に決まったダイエー。この日、リニューアルオープンした「ダイエーいちかわコルトンプラザ店」の最大のミッションは、イオンが進めるスーパーの新業態を成功に導くことである。

 イオンは総合スーパー(GMS)事業の不振に苦しむ。14年度上半期の決算で、中核となるダイエーとイオンリテールがそれぞれ102億円、75億円もの営業赤字を計上した。

 危機的な状況を前に、イオンはダイエーの完全子会社化や、マルエツ、カスミの経営統合などを軸にスーパー事業の大改革を推し進めている。

 目玉は、家族向けや50代以上向けなど、既存の店舗を5種類の新業態に再編すること。今回改装した店舗は、食に特化した「イオン・フード・スタイル・ストア」の実験店で、「絶対に失敗できない」(ダイエー幹部)存在なのだ。