両国とも関係改善を図らざるを得ない
わが国はしたたかに対応すべし

 わが国を目の敵にして国内世論の求心力を維持してきた中韓両国も、景気減速による国民の不満の高まりに歯止めをかける必要がある。そのためには、自国経済の立て直しを図らねばならない。その意味では、わが国経済が役に立つ部分は多い。

 韓国政府が露骨に対日強硬姿勢を続けたこともあり、わが国国民の間の嫌韓意識が少しずつ高まっている。かつて人気を博した韓流ドラマはほとんど目にすることがなくなり、サムスン社製のスマートフォンからサムスンの文字が消えた。そうした状況に対して、韓国の産業界では懸念が強まっている。

 一方、中国に関しても、厳しい大気汚染などの対策として、わが国が持っている公害対応の技術が必要になるだろう。それ以外にも、わが国企業の高い技術を中国企業が必要とするケースは多いはずだ。それは、爆買いと呼ばれる、中国人観光客の買い物を見ても明らかだ。

 そして中韓両国にとって、見逃せないファクターはTPPだ。元々、中国は知的財産権や国営企業の問題があり、TPPに加盟することが難しかった。しかし、同じ旧共産国であるベトナムがTPPに加盟し、環太平洋経済圏の中に入ることになった。それは中国にとって、一種の衝撃だったかもしれない。

 一方、今までFTAなどで進んでいた韓国は、中国重視の姿勢からTPPに乗り遅れた。わが国がTPPに参加したことで、特定の分野で韓国製品の競争力が低下するのは間違いない。

 韓国国内のメディアでは、TPP不参加がかなり大きな問題として取り上げられている。同国がTPP参加に名乗りを上げるのは時間の問題と見る向きが多い。

 そうした状況を総合的に考えると、中韓両国は、国内世論を意識して対日強硬姿勢を取り続けるだろうが、一方で、経済関係の改善を図ることになると予想する。名を捨て身を取る行動になると見るからだ。

 わが国は、そうした両国に対して冷静で、したたかな大人の対応をすればよい。南シナ海の人工島の問題などで決して中国に譲歩することなく、「是は是、非は非」でメリットが取れるスタンスを維持することが大切だ。今までの両国の態度を見れば、「話せばわかる」は通用しない。